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仕事効率アップ!人間工学的ワークスペース整理術のススメ

2017.11.28

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仕事の効率を高め、またリラックスしてこなすためにもワークスペースの使い勝手の良し悪しは重要なポイントです。資料や文房具などさまざまなものがあふれやすい場所だからこそすっきり整理できた状態で仕事に集中したいものですが、さらに人の特性に沿った使いやすさも加えた整理術を知って実践してみませんか? 人の特性=人間工学を踏まえた通常とはちょっと視点を変えた整理術でワークスペースの快適性を高めるコツについてご紹介します。

人間工学って何?

人間工学とは、人の身体的な動作や特性を研究して快適に使える機械や環境などを造る学問のことです。建築の分野で人間工学を活かす場合は、人が可能な限り自然に、そして快適に動けるような環境造りを目指す際によく使われます。

ワークスペースは日常的に仕事をするスペースですから、無意識に動きやすい、使いやすい環境かどうかは仕事の創造性や作業にも影響を与えます。寸法や動作、知覚などに無理がない状態を造るために人間工学を取り入れることで、仕事のパフォーマンスを高めるメリットがあると言えます。

人間工学を空間設計に活用する場合、主には家具の設計に用いられます。
家具の中でも特に椅子やベッドといった人体系家具は人間工学の影響をダイレクトに受けます。座面の高さや肘の高さ、背もたれの角度、ベッドマットレスの高さといった要素は動作や快適性を大きく左右するからです。
「椅子の背もたれの角度を変えたらリラックスできて、集中力が上がった」「ベッドの高さを調整したら立ち座りが楽になって腰が痛みにくくなった」といったことはよくあります。

また収納家具などの建物系家具は立って取り出しをすることが多いため、人体寸法を考慮しながら寸法計画をするのが一般的です。

このように、寸法や質感といった一見ささやかな部分にも人間工学の要素を取り入れると快適性は高まります。効率的に仕事をしたいワークスペースについてもそれは同じです。
単なる「きれいにする」という整理術ではなく、人の特性を活かした整理術のポイントについて具体的に見ていきましょう。

ポイント1.ワークスペースの配置はアイレベルを意識して考える

ワークスペースの効率性はアイレベル(目線の高さ)をどう使うかによって変わってきます。効率性が業務に影響する2つの項目、「資料棚」と「デスクの配置」について見ていきましょう。

資料棚の整理方法

大きなプロジェクトを担当したり複数のプロジェクトを同時に進めていると、それらの資料の量も膨大なものになりますね。アイデア出しや打ち合わせといった考える時間も、パソコン作業やデータ検索などの作業する時間も限られた中で行うのですから、それぞれに関連した必要資料の取り出しや片付けはスムーズに行えることが大切です。

そのためには資料の使用頻度に合わせて置く場所を決めることが大切です。そこで資料棚の高さ位置を大きく「上部分」「中央部分」「下部分」と3つに分けて考えます。

最も取り出しやすいのは中央部分、その次に取り出しやすいのは下部分、最も取り出しにくいのは上部分というのは何となくでもすぐ思い付く人が多いのではないでしょうか。
そう感じるのも実は人間工学に当てはめると理にかなっています。

人が自然な姿勢で立っている時に楽に手が届く範囲は「身長×0.4~身長×1.2」の高さと言われています。例えば身長150cmの人だと床から60cm~180cm、身長170cmの人だと床から68cm~204cmの高さの範囲です。この範囲よりも低いとかなり腰をかがめたり、高いと背伸びをしたりと体勢を大きく変えることになり、資料の取り出しを行うたびに体に負荷が生じてしまうことになります。

ですから体に負荷が生じない高さに最もよく使う資料を置くのががお勧めです。

図1

さらに資料を探すという点も考えると、視線が届きやすいゾーンに最も使用頻度が高い資料を置くとさらに効率的です。

これは店舗の商品陳列設計などでよく使われる考え方で、目の高さ(アイレベル)から視線が届きやすいゾーン=ゴールデンゾーンに売りたい商品を並べると手に取ってもらいやすいという売上アップの手法の一つなのですが、これを整理術に応用することで資料を整理する際の配置が決めやすくなります。
整理術画像2

立っているか座っているか、また身長の高さによってもアイレベルは異なりますが、床から70~130cm程度ならばどの条件であっても共通して探しやすい高さです。この範囲よりも高い位置や低い位置は資料棚の前に立ったときに視界に入りづらいため、使用頻度の高い資料を置くのは視認性から考えると不適切です。資料を探すのに無駄な時間がかかってしまう可能性が高くなります。

特に複数の人数で進行しているプロジェクトは、資料を共有している全員が自分で探して収納できるという状態が必要ですから、「見付けやすい位置に資料を置く」ことを意識しておくといいでしょう。

取り出しやすさという動作性と見付けやすさという視認性、この2つの要素を押さえておけば資料棚のどこにどのファイルを置けばいいかという目安が付けやすくなり、仕事の効率化にもつながります。
資料だけではなくコピー用紙や文房具などについても同じ考えで整理していくといいでしょう。

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作業デスクの高さに近い資料棚の中央部分はよく見る資料や使用頻度が高い文房具などを、その上下は使用頻度が低い物を収納した事例。座ったままでも立ったままでも資料が探しやすく、資料探しの時間が短縮されます。

デスクの配置

一人の場合

デスクの場所を一人ずつ決めて配置する場合、寸法計画をきちんとする必要があります。作業用デスクなら成人男性で幅60cm、パソコンを置く場合はノートパソコンの幅25~30cmを加えた85~90cmがデスクの幅寸法として最低限必要です。

整理術画像5

これ以上短いと広げられる資料に限りがあり作業効率が落ちやすくなります。またこれ以上広いとパソコン作業の場合は資料を手元に取ったり置いたりする作業域が広くなりやすく、作業する人と資料との距離も広がりやすいのでムダな動きが増えてしまいます。

なるべく腕を伸ばしたり体を傾けたりする動きをしなくて済むよう、適切なデスク幅を確保しておくといいでしょう。

特にオフィスの場合は一人ずつ、そして日によっても作業内容が異なります。多くのタスクが組み合わさったプロジェクトの担当者ならなおさら日々違う業務をデスクでこなさなければなりません。

より多くのタスクをこなすために、作業効率を考えてデスク幅を決めていきましょう。

フリーアドレスの場合

上記のような必要寸法をがっちり確保してレイアウトを固定しなくてもいいことで、フレキシブルな使い方ができるため、リラックスしながら仕事ができるというメリットがあるのがフリーアドレスデスクです。

席を固定化すると、出社してすぐ自分のデスクに座って作業を開始しがちなので、他の社員との会話はランチタイムかミーティング時のみとなり、コミュニケーション不足になる可能性があります。作業をするには集中できていいかもしれませんが、自由な発想や企画は生まれにくくなります。

ある仕事をしているうちに別の人の意見を聞きたくなったり即席のミーティングが始まるといったことも時にはあるでしょう。「今日はアイデアをたくさん出したいから○○さんの隣に座ってミーティング!」など、プロジェクトの進行状況やその日行う業務に合わせて座る位置を変えられるとよりスムーズにタスクが進んだりリラックスして発想を出せたりしますね。

ただし集中して作業する場合も考えて適度な閉塞感も保っておき、視野の中に不要なものが飛び込んでこないようにもしておきたい場合もあるでしょう。そんな時はパーテーションの活用がお勧めです。

例えばデスクと通路との間に低めのパーテーションを建てることで、視野の中に入ってくるものや色の数を減らし作業に集中できる環境を造ることができます。片方が立っていてもう片方が座っている場合、男性だと135cm前後、女性だと120cm前後の高さのパーテーションがデスクの前面や側面にあれば視線を感じることによる思考の中断が起きづらく、オープンな雰囲気も壊さずに済みます。

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ブラックのスモークガラスのパーテーションで柔らかく視線をカットしている事例。のぞき込まない限り手元は見えにくく、またパーテーションが低めなので開放感も失われていません。

ポイント2.デスク周りは可動範囲と視野の広さに合わせて考える

デスク周りについては、デスクを一人で使うのか複数の人数で使うのかによって用途が違うため整理術も異なります。

一人で使うワークスペースの場合

一人で使うのが前提の場合は、用途の中心はパソコン作業など集中力を必要とするものになる可能性が高いので、「関係ないものは近くに置かない」ことで仕事の効率を高めます。
またメモや電卓、ペンといった利き手で使うアイテムは利き手側に、閲覧用資料は利き手で作業やメモを入れながら使えるよう利き手とは反対側に置いておくと動作がスムーズになるので効率が上がります。

可動範囲

平面上の一定の場所内で上下左右の方向に動かして作業する場合、肩のラインから指先までの寸法から可動範囲の基本が決まります。
肘を軽く曲げた状態で動かせる範囲を「通常作業域」、肘をぴんと伸ばした状態で動かせる範囲を「最大作業域」と呼びます。成人の場合、通常作業域は39cm、最大作業域は50cmです。

体格によって±2cm程度の差を考慮する必要はありますが、パソコンを基準にしてデスクの上のどこへ何を置くと効率的なのかということを考える際の指標になります。
例えば作業をしながらよく使うメモを最大作業域内に置いていると、メモを書いたり見るたびに腕を伸ばさなければなりません。逆に電話があった時にしか使わない物を通常作業域内に置いていると作業に邪魔ですね。

よくメモを使うなら通常作業域内である体から39cmの範囲に、電話があった時にのみ使うなら最大作業域内である50cm以内に置くと使いやすく、作業の支障にもなりません。

整理する=すっきりさせるというイメージがありますが、何もないことは整理の目的ではなく「効率的にそのスペースを使う」ために整理するのですから、逆に言えばよく使うアイテムは体から30cm以内にあってもいいのです。

整理術画像4

何もかも収納してしまうのがベストではないという意識を持ってレイアウトを考えるといいと思います。

視野の広さ

例えばパソコン作業をしている時はモニター画面を集中して見ていますが、資料を見たり考え事をしたりする際に視線を外すと、その周辺や背景にあるものも視界に入ってきます。人が両眼で無意識に見ている視野は180~200度と言われていますから、仕事に関係ないものがデスク周りにあふれているとそうしたものが常に視界に入る可能性があります。

例えば秒数まで表示するデジタル時計がパソコンモニターのすぐ後ろにあると、パソコンの作業中に動く文字が常に視界に入るため集中しにくくなります。時計は視野内には置かず壁面に飾るなど、できるだけすっきりとさせておくと集中力を高めやすいと言えますね。

可動範囲と視野を踏まえた整理方法

・引き出しや棚などの収納スペースを可動範囲内に設ける
デスクの奥行が広い場合は、デスクの正面に棚やキャビネットを置いて、すぐに使う資料類やペン、付箋などよく使う文房具を収納します。最大作業域の範囲内だとほとんど動かずに必要なものが取り出せたり片付けられたりします。

・視野内に入る色の数を抑える
デスク周りに多くの色があふれていると、置いてある物が2~3個しかなくても視界に入る色の情報が増えるので無意識に気が散ってしまいます。できるだけ同じトーンの色の物でそろえるようにします。

また、人間工学的豆知識として、備忘録に使うメモは寝かせて置く方が便利ですが、タスクを書き出したメモは立てて置くのがお勧め。自然に視野に入るようあえて目立たせることで、スムーズにタスクが処理できるようになります。

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可動範囲を考えて収納を使い分けている事例です。細かいものは隠し、メモ帳やよく使う文房具は出すというメリハリの利いた収納にもなっていますね。隠すということは視界に入ってくる色の数も抑えられるので、より作業に集中できる環境を造ることができます。またデスクと同じ色のキャビネットなので色の氾濫が抑えやすくなっています。

無意識の力を意識したワークスペースがモチベーションを上げる

これまでの仕事の効率化やモチベーションアップに関する対策は主に人や作業過程に対するマネジメントが中心でした。しかしそれらに環境のマネジメントの力がプラスされ快適に働けるようになることで、さらなる効果が得られる可能性があります。

動きやすさや過ごしやすさを追究する人間工学を取り入れるということは、人が無意識に持つ特性を活かすこと。その力を上手に活かした整理術をぜひ実践してみてください。

こうのゆみ子
こよなく愛する建築やインテリアの魅力を日々発信している住宅系ライター。趣味はドライブ、神社めぐり、読書、クロスワード。海や森や空の美しさに惹かれる自然愛好家。自撮りはしない派。ソウルフードはお好み焼き。広島出身。

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