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コミュニティ

コミュニティがサラリーマンの人生を変えた
─チャラ電Mitz流コミニュティ活用術

2018.09.07

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2016年4月までは普通のサラリーマンだったというチャラ電Mitzさん。5月にIoT縛りの勉強会というコミュニティイベント「IoTLT」に参加したことで人生が変わったといいます。
今では毎月、7000人規模のIoTLTグループの運営に携わり、国内初のRPAユーザー主体のRPAコミュニティを主催するほか、月の半分は何かしらのコミュニティの運営のお手伝いとして多忙な日々を過ごしています。
そんな、チャラ電Mitzさんに、なぜコミュニティで人生を変えられたのか、どんな想いでコミュニティを運営しているのかを聞いてみました。
※LT(Lightning Talks)=ライトニングトーク、短いプレゼンテーション。

チャラ電Mitz

左:「IoTLT」用のサングラス。サングラスの縁が光ることでIoTっぽさを演出している。ちなみに在庫は60本もあるそう。 右:RPA Community用のサングラス。ロボットっぽさを演出している。

▲左:「IoTLT」登壇者用のサングラス。サングラスの縁がLEDで光ることでIoTっぽさを演出している。ちなみに在庫は60本もあるそう。
▲右:RPA Community登壇者用のサングラス。RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)だけに、ロボットっぽさを演出している。


本名、松岡光隆。コミュニティ運営芸人。
COBOL一筋15年以上のエンジニアがコミュニティへの参加をきっかけに2016年半ばから方向転換(※COBOL 50年以上前に生まれたプログラミング言語)。
7000人規模のIoTコミュニティ「IoTLT」グループの運営に携わり、国内初のRPAユーザー主体のRPAコミュニティを主催。
某SIer企業に所属する元エンジニアでもある。

コミュニティに参加したことで人生が変わったという想いを広めたい

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──コミュニティに参加するようになって人生が変わったのだとか?

コミュニティに参加する前はごくごく普通のサラリーマンでした。でも、コミュニティに参加したことでさまざまな業種や職種の人たちと交流するようになり、会社だけでは得られないような知識を得ることができるようになりました。また、webや文献ではないリアルな登壇者のLTに触れることでの学びもあります。あと、とにかく人脈は広がりましたね。友達がたくさんできました。

──最近、「コミュニティ」というワードをよく聞きます。エンジニア界隈でもほぼ毎晩どこかで勉強会がおこなわれていたりと、かなり盛り上がっていると思うのですが、その中でもLTが流行っているのはどうしてなんですか?

根底にあるのは「楽しさ」だと思います。LTの登壇者が5分ほどの短い時間のなかで楽しませるように話す。オーディエンスは5分という区切られた時間のなかで完結する何かを毎回、見せてもらえて、そのスピーディな感覚に酔える。
エンジニアのLTではライブコーディングがあったり、モノ作りの実演があったり、それが楽しいしテンポもいい。登壇者もどんどん変わっていく。例えばひとりで40分間ずっと楽しく盛り上げるのは厳しいと思いますが、5分に集中して笑いや興味を惹くものを詰め込むことができる人が8人いれば、同じ40分間でも「楽しさ」がずっと続くんです。
登壇者は20、30分の話を5分に納めてそのうえで人を魅了する内容にする事で、プレゼンスキルアップになります。それで上手くいって盛り上がったら、その感覚がたまらなくてリピーターになる。私が運営しているコミュニティでもLT登壇者を募集したらすぐに埋まってしまい、抽選しなくてはいけなくなるんです。

しかし、常連のエンジニアだけで盛り上がっているコミュニティは、ある意味、内輪的なコミュニティなんです。そうすると新規の参加者が入り辛く、結果的に次第と縮小していってしまう場合も。JAWS-UGの JAWS DAYSの2018年開催では、テーマに「no border」を掲げていました。内輪ではなく人種、性別、国、業種、コミュニティ、様々な境界(border)を取り払い多くの人に参加してもらって盛り上げよう、という取り組みがありました。これは本当に素晴らしいことだと思いました。

※AWS(Amazon Web Services)=AmazonがWeb事業者や開発者向けに提供しているオンラインサービス群。同社のショッピングサイトのインフラや商品データなどを外部に開放したもの。
※JAWS-UG=AWS (Amazon Web Services) が提供するクラウドコンピューティングを利用する人々の日本での集まり(コミュニティ)。2010年2月の発足。全国に支部があり、活発活動を行っている。
※JAWS DAYS=JAWS-UG主催、AWSJ後援で行われるJAWS-UG最大のイベント。最新技術からビジネス、ライフスタイルなど、AWSに関わる幅広いテーマのさまざまなセッションが開催される。

──LTを行うコミュニティはエンジニアだけに広がっているのでしょうか?

私の知っているコミュニティの1つに広報さんが集まってLT大会を行う「PRLT」というコミュニティがあり、とても盛り上がっています。私もコミュニティを運営している以上、コミュニティを宣伝したいという思いがあったのでこのPRLTを見つけ、参加したことがあります。どうせ参加するなら登壇だ! と思い「LTやらせて欲しい」と立候補したら採用をされて「広報ではない人間がコミュニティの広報をどのような形で工夫しているか」というお話をさせてもらったら結構好評でした。

──主催されているRPACommunityは立ち上げからたった半年で900名を超える規模になりましたが、これほど多くなると思っていましたか?

ぜんぜんです。規模のことはあまり気にせず、参加してくれる方々が「楽しい」と思えるようなコミュニティにする、ということしか考えていませんでした。
コミュニティは技術が好きで始める人もいれば、みんなに楽しい想いを提供したくて始める人もいます。自分が主役になりたいという人も。運営側にもいろんなパターンがあります。
私は、コミュニティに参加したことで自分の人生が変わったという想いを広めたい。そして、多くの人に同じ体験をしてほしい。自分が主役になる、というよりみんなと近い位置で一緒に盛り上げたいと考えて運営をしています。
なので、来ていただいた方に同じ想いを感じてもらいたい、という想いが上手くかみ合ったのだと思います。

自分のやる気につなげてスキルを上げてもらうのが目的

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──コミュニティを運営するうえで気を付けていることはありますか?

参加者にインプットさせるだけで終わるのではなく、参加者自らにアウトプットしてもらうことです。
最高のアウトプットは登壇なのですが、それ以外にもブログで発信する、TwitterなどのSNSでコメントする、など様々なアウトプット手段はあります。そういったアウトプットをしやすい雰囲気作りにも気を配っています。私が採用しているもっとも敷居の低いアウトプット手法は「匿名で簡単にスマホ入力できるオンラインのリアルタイムアンケート」です。そこで気軽にひと言でよいので発信してもらい、リアルタイムにその場で共有して皆でイベントを進めているという感覚を味わってもらう、ということを実践しています。そういった工夫と合わせて、登壇者、参加者、運営の壁を作らない司会進行をすることは常に心がけています。
主催するRPAコミュニティだと約200人の参加者を2、3時間、拘束するのですから、楽しんでもらうことをしないと失礼だ、というくらいの想いで真剣に考えています。登壇者と参加者が主役なので、司会進行はガンガンやる必要はなくて、気持ちいい、心地よい、と思ってくれればいいかなと。

──では、大変なことはなんですか?

一般的には登壇者を探すことですね。私は様々なコミュニティに参加して積極的にいろいろな人とコミュニケーションをとってきましたので、ゼロからRPA Communityを立ち上げた際も「RPAコミュニティでLTに出ませんか?」と多くの人に声を掛けることができた。けれど、他のコミュニティでは苦労しているところも多いと思います。どれだけコミュニケーションを取れるかですね。
あと、盛り上げに欠かせないのが懇親会です。とあるコミュニティですと「楽しむ」ではなく「学ぶ」という想いに重きを置きていて、参加者の1、2割程度しか懇親会に残らない。そんなコミュニティもあります。そんな「知識を得る」ためのコミュニティもありますが、モチベーションがあがった、楽しかった、と思ってもらうことをゴールにしたコミュニティがあってもいいと思っています。例えLTを10本聞いても、そこで得られるのは興味、知見や楽しさであり、すぐにスキルが上がるわけではないので、楽しかったという想いを持って帰ってもらって、自分のやる気につなげてスキルを上げてもらうのが目的。なので、そういった場合には、懇親会にどれだけみなさんが残って、みんなとしゃべって「楽しかった」という想いを共有できるか、が大切なんです。
ただ、懇親会ではビールや軽食を出さないといけない。そこにお金がかかるので、スポンサーが必要。なので、懇親会のスポンサーを毎回、確保するのが一番、大変です。

懇親会で使用する自撮り用のカメラ

▲懇親会で使用する自撮り用のカメラ

──とあるLTで登壇者の発言が原因で後日炎上してしまったという話も聞きます。炎上したときはどうすればよいのでしょうか?
やはり、大なり小なり炎上する事や、参加者から不満の意見が直接届く事はあります。
その場合、すぐに全身全霊で各関係者にお話しをして対応、そして自ら反省します。その反省から得た私の対応策は「登壇者を限定、もしくは登壇者には楽しんでもらうための意識付けを行う」です。
単に有名な人だから。高いスキルを持っているから、でお願いするのではなく、実際にどんな人なのか。どんな話をしてくれるのか。をしっかりヒアリングする事ですね。

オーディエンスの雰囲気で臨機応変にしゃべれる人は強い

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──LTではどのような話が盛り上がりますか?

実演やライブコーディングも盛り上がりますが、実は「失敗した話」とか「苦労した話」がとても盛り上がります。
例えば、RPAだと何でもできると言われて困ったとか、それ、RPAにする意味あるの?やRPAにAIを乗せてくれと言われたなどのRPAに関わるエンジニアあるあるは「どこも一緒だな」と妙に安心します(笑)。

──チャラ電MitzさんのLT術みたいなものがあれば教えてください。

実は、私はそれほどLTは上手くないんです(笑)。カリスマ性のスキルがある人なら盛り上げることはできると思いますが。そもそもIoTにしてもRPAにしても技術的や業務的な話が多くなってしまうので、話の内容で盛り上げるのは難しく、なのでインパクトで行くしかない。話し方も受け狙いはあまり考えません。ただ、パソコンを操作するリモコンを持って、みんなの方を見ながら歩き回りますね。登壇台にはいないです。やっているのはそれだけ。
スピーチ内容で気を付けていることと言えば、マイナスな表現や言葉は絶対に避けています。あと、自己紹介は大事です。私の場合、プロジェクターにパソコンの映像を映すとき、最初からスライドは見せず、デスクトップの背景に「チャラ電Mitz」とあるのを見せることから始めたり。ほら、デスクトップの背景がアニメのキャラとかアイドルで、つい映っちゃいました、というのは盛り上がるじゃないですか。それを掴みにするのはいいと思います。

──LTでは準備が重要なのでしょうか?

前日なのに「今のところ、進捗ゼロバイトです」みたいなツイートをしている人も多いんです。「これを話す」と決めるより、基本的な話すことは考えていても、そのときのライブ感で自分で変える。周りの空気やオーディエンスの雰囲気で臨機応変にしゃべれる人は強いです。
あと、決められた持ち時間、5分や10分という時間の意識はすごく持っています。私がLTする際はよほどの事が無い限りは絶対に時間オーバーしないようにしています。
短い時間に詰め込んだ内容を怒涛のように話すより、何らかしら尖ったものがひとつでも入っている方が盛り上がります。

喜ばせたい、という想いがあれば誰でもできる

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──Mitzさんの話を聞いたり、他の登壇者の方を見て、自分もやりたいと思う人は多いと思います。どうすればLTに登壇できるでしょうか?

誰でも登壇できると思います。ライブコーディングするとか、動画を見せるとか、そんなアウトプットを持っていて、みんなに何かを見せたい、喜ばせたい、という想いがあれば誰でもできます。私も毎回、1人か2人は始めてLT登壇します、という人を入れています。ただ、登壇前にオンラインにしろオフラインにしろ一度は会話やコミュニケーションを取らせていただいています。その際に印象が良ければ、良いかたちでやってくれるもの。信頼関係を持てれば相手も応えてくれる。それを心がけています。

──ではLTである程度場数を踏んだ後、チャラ電Mitzさんのようにコミュニティを立ち上げるにはどのようにすればいいのでしょうか?

例えば、IoTLTのような規模の大きなコミュニティに入り、しっかりした熱意をもって「支部を立ち上げたい」と言えば、コミュニティ趣旨に反しない限り立ち上げは実現できると思います。そして大きなコミュニティ配下であれば、イベント企画を発信と同時にメンバー全員に連絡が届きます。なので、手っ取り早くやりたいのなら、大きなコミュニティに参加して、その配下で立ち上げて呼びかけるのが一番でしょうね。
あと、コミュニティを立ち上げるのにはバズワードを探すことも効果的です。私はRPAのコミュニティを立ち上げるとき、バズワードなのにコミュニティが無かったのと、私と同じように興味を持っている人は多いはずだから、立ち上げてしまえ、という感じでした。立ち上げてさえしまえば興味のある人は絶対に集まってきます。

──コミュニティを立ち上げるのに重要なのは「どこで声を上げるか」ということと「タイミング」なんですね。Mitzさんのコミュニティに対する想いからその活用術まで、広く伺うことができました。本日はありがとうございました。


チャラ電Mitzさんの主なコミュニテイ活動(主催、運営、手伝い、盛り上げ)
・IoTLTグループ https://iotlt.connpass.com
・SIerIoTLT ※主催 https://iotlt.connpass.com/event/91874/
・SIerIoTLT女子部 ※主催 https://iotlt.connpass.com/event/99113/
・LEDLT ※主催(立ち上げ企画中)
・RPALT ※主催 https://rpacommunity.connpass.com/

運営メンバーとして活動(一部コミュニティのみ抜粋)
・ControlIoTLT https://iotlt.connpass.com/event/95238/
・VUILT https://iotlt.connpass.com/event/95062/
・チャットワークカフェ東京 https://chatwork-cafe.connpass.com/event/82796/
・JAWS-UG IoT専門支部 https://jawsug-iot.connpass.com/

取材
大橋博之(おおはし・ひろゆき)
撮影
長尾浩之

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