「Forest of Resonating Lamps - One Stroke」 Photographer:Eric Valdenaire

現代アートで毎日が変わる! 日常の視点をスイッチできる日本作家4選

2017.10.06
「Forest of Resonating Lamps - One Stroke」 Photographer:Eric Valdenaire

「Forest of Resonating Lamps – One Stroke」 Photographer:Eric Valdenaire

駅までの行き帰りの道、立ち寄るお店…。毎日同じことの繰り返しになってしまい、日常をつまらなく感じる人も多いでしょう。そんなマンネリを変えるのにオススメなのが現代アート。紹介する4人の作家たちのオリジナルな視点を参考に、マンネリな毎日の中に違う光景を見いだしてみてください。

視点がオリジナルだと、見るものが新鮮に変わります

考え事をしながら作業していて、意識はここにないのにいつも通りにできている、という経験があると思います。ハミガキの順番など、意識していないのに毎日同じ順番で磨いていますよね。これは、脳が作業の手順を覚えていて、勝手に進めてくれるからです。ただ、 そうすると毎日がどうしてもマンネリ化します。

通勤通学で通る道も同じ、ランチの店も数店のローテーション、仕事の企画も去年と同じ……。失敗もしない代わりに面白みもなく、同じことの繰り返しでつまらない、と感じてしまいます。ただ、忙しい毎日の中で、刺激的な場所へ行ったり、面白い人に遭うのはなかなか難しいと思います。

そこでオススメしたいのが、視点を変えること。
毎日の生活は変えずに、受け取る自分の視点を変えるのです。

その参考になる現代アート作家を4人紹介します。オリジナルな視点を通してものを見ることで、日常を新鮮に面白がることができるようになります。

自然の一部になった感覚が味わえる、チームラボ

「生命は闇の中の呼応する光 / Life is the Light that Resonates in the Dark」

「生命は闇の中の呼応する光 / Life is the Light that Resonates in the Dark」

今、日本のアート界で最も勢いがあると言われるチームラボ。日本だけでなく、世界中で大々的なイベントが行われ、何百万人という人を集めています。ジャンルはデジタルアート。作品を飾って見てもらうのではなく、観客が作品の中に入って楽しむ体験型・体感型のアートです。

例えば、渋谷・ヒカリエで開催された「バイトル presents チームラボジャングルと学ぶ!未来の遊園地」では、さまざまな方向から走る光のアートに包まれ、光に触れて音楽を奏でることができました。
アメリカ・ミネアポリスでの「teamLab: Graffiti Nature – Still Mountains and Movable Lakes」では、デジタルな自然の中に自分たちで描いた蝶やワニなどの生き物を生息させることができます。他にも、高知、佐賀、インドネシア、中国、シンガポールでチームラボのアート展が開催されています。

猪子寿之を代表に、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家などデジタル社会の多様な専門家が集まって集団的創造をコンセプトに活動しているチームラボ。技術者が多く、さまざまなテクノロジーを駆使していますが、創るのは自然であり、生き物です。佐賀の50万平米の大庭園を会場とした展覧会(下記にリンク)でも、庭の巨石にデジタルの花の成長を映し出すなど、あくまで自然をテーマにしています。

不思議なことに、実際の森の中にいるより、デジタルの森にいる方が自然の一部になったように感じます。自分が木になったような、デジタルのドットになったような、世界に含まれている感覚が残ります。それは、デジタルで自然を再現することによって、時間をコントロールできるからだと思います。自然界の花の成長には時間がかかりますが、デジタルでは目に見えるスピードで提示してくれます。そして自分が触れることで、自然が変化する姿を体感できます。それが環境との一体感を感じられる理由でしょう。ぜひ一度、展覧会で一体感を味わってみてください。日常生活でも、自分がその場所に根を生やし、風景の一部になったかのような感覚に、スイッチできます。

Information
「資生堂 presents チームラボ かみさまがすまう森のアート展」 2017年7月14日(金)~10月29日(日)九州 佐賀・御船山楽園

「チームラボ宇部市ときわ公園 2017グラフィティネイチャー – 世界を旅する植物に住まう生き物たち」 2017年9月15日(金)~11月5日(日)ときわミュージアム世界を旅する植物館

「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」 2017年11月23日(木)~2018年5月4日(金) 新潟県立万代島美術館

チームラボ・公式サイト

日常に潜む極彩色に注目して生活をカラフルにする、蜷川実花

「Liquid Dreams」©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

「Liquid Dreams」©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

写真家、映画監督、ファッションブランドのディレクションなど、ビジュアルに関わるさまざまな顔を持つ蜷川実花(にながわ・みか)。「ニナガワカラー」と呼ばれる鮮やかな色彩と、リアルな夢を見ているような不思議な世界観で、特に女性からの熱い支持を集めています。花、金魚、人物、風景、被写体が何であっても、独特の極彩色に目を奪われます。一般的に極彩色は撮影後、グラフィックソフトで加工されることが多いのですが、蜷川さんは違います。長らく作品撮りはネガフィルムにこだわり続け、いまだにデジタルカメラではなく、フィルムで撮影することもあるそうです。

写真は完全に独学で、大学も多摩美術大学のグラフィックデザイン専攻。写真は習っていないとか。それもあってオリジナリティにあふれているのかもしれません。撮影スタイルは感性重視で、被写体を格好良いと思いながら撮っていると、格好良い写真になっているそうです。その感性が日常の中に潜んでいる極彩色を見逃さず、オリジナルな風景を作り上げているのでしょう。

その視点は、あなたも持つことができます。目の前の景色を見るとき、特定の色だけに注目してみましょう。青、赤、極彩色全般でも構いません。意外に世の中が鮮やかな色であふれていることに気付きます。続けていると感性が豊かになり、薄暗かった景色を鮮やかにスイッチしてくれるかもしません。

Information
グループ展「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」  2017年11月1日(水)~2018年1月8日(月・祝) 森アーツセンターギャラリー

「蜷川实花展」 2017年11月11日(土)~2018年1月10日(水) 中国・上海拉法耶艺术设计中心

蜷川実花・公式サイト

自分の身の回りを面白がることで生活が楽しくなる、都築響一

「ROADSIDE LIBRARY vol.002 LOVE HOTEL」

「ROADSIDE LIBRARY vol.002 LOVE HOTEL」

東京の狭くて賃料の安い部屋ばかりを撮った「TOKYO STYLE」で写真家を始めた都築響一(つづき・きょういち)。海外旅行や高級レストランのような非日常ではなく、自分の身の回りや日常生活こそが面白いという信念から作品を生み出しています。

地方にある観光名所ではない面白い場所を発掘した「ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行」。消えゆくブティックホテルを一種のアート空間のように撮影した「Satellite of LOVE」。ストリート・ラッパーを詩人として評価した「ヒップホップの詩人たち」。魅力的な1人暮らしの老人ばかりを集めた「独居老人スタイル」。いつの間にか溜まってしまう「捨てられないTシャツ」。誰もが「あるある」と言いたくなる日常の普通のシーンに光を当てています。

彼はもともと「POPEYE」や「BRUTUS」などの雑誌編集者。しかし当時から、オシャレな部屋や有名な作家のアートばかりを高く評価する風潮に怒りを感じていたそうです。有名建築家の家を褒めるのはリスクがない。モノがあふれた四畳半の部屋を褒めるのはリスクがあるが、よく見ると面白い。そうして、自分が面白いと思ったものを、自信を持って面白がり、世の中に勧めるという作家活動を続けています。

作品を見ていると、自分の周囲を見回したくなります。そこにこそ面白いものが潜んでいるはずです。無理やりでもいいので、今日から身の回りを面白がってみてください。そうしているうちに楽しいことが見付かります。楽しみ方が見付かります。根拠なく面白がって、楽しい生活へとスイッチさせてください。

Information
「TOKYO ART BOOK FAIR/都築響一『TOKYO STYLE』電子版で復刻!」 2017年10月6日(金)~10月8日(日) 東京品川・寺田倉庫

都築響一の週刊メールマガジン「ROADSIDERS’ weekly」

会議のExcel資料からアートを発想する、堀内辰男

「城址(じょうし)の桜」

「城址(じょうし)の桜」

日本画は通常、岩絵の具などを使って描くのですが、堀内辰男(ほりうち・たつお)は違います。なんと画材は表計算ソフトのExcel。しかも始めたのは60歳です。電機メーカーなどで技術者として勤め上げ、定年退職を前に奥さまからパソコンを贈られて、ゼロから何か始めたいと強く思ったそうです。

その時、定年を前に部下がExcelで作った資料を見て「こんなにきれいにグラフが作れるのか」と驚いた経験が頭をよぎりました。そして高校時代、数学の授業中に先生が言った「数学と芸術は違う。絵は数式では表せない」という言葉に反発したことも思い出しました。それらの点がつながり、彼はExcelで絵を書き始めました。最初のモチーフは家にあった君子蘭という花。複雑な形ですが、意外にうまくできたことで感激、画家生活がスタートしました。

パソコン初心者、アートからも縁遠い生活を送っていただけに、最初の3年間はパソコンとExcelに馴染むことから始め、それから17年。77歳の今もパソコン絵画の教室で生徒に教え、2017年9月には展覧会も開催し、日本画制作も続けています。

会議で配られた資料を見て発想をスイッチし、ビジネスに使うExcelで絵を描くという視点の転換を得たことは彼の人生を変えました。あなたの日常の中にも、人生を劇的に変えてくれる「もと」が潜んでいるかもしれません。ぜひ、先入観を取り払って、日常の中から新しい発想を見付け出してください。

Information
堀内辰男のホームページ

堀内辰男のエクセルで描くパソコン画

まとめ

今回紹介したアーティストに共通して言えるのは、「日常を大切にしている」ということです。冒険の舞台はジャングルや海の上だけにあるのではなく、毎日の生活の中にもあるのです。周囲との一体感を感じて、積極的に面白がって、カラフルなものや人や出来事に注目するよう、視点をスイッチしてみましょう。きっと生活を楽しみ尽くすことができるようになります。

岸上直大(きしがみ・なおと)
AI、IoTといった新技術系と、デジタルマーケティング系がメインのライター。趣味は現代アートのギャラリー巡りと、エクササイズDVDのお試し。いまだに「ビリーズブートキャンプ」に勝てるDVDに出会えないのが悩み。

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