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キミの革命のファンファーレを鳴らすのはキミしかいない。キンコン・西野に学ぶ、新しい時代の泳ぎ方

2017.11.03

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世代を超えて圧倒的な人気を誇る、お笑い芸人・キングコングの西野亮廣(にしの・あきひろ)氏。彼はネットを活用する、新時代のタレントです。そんな西野氏が唱える、革命のファンファーレ。ここでは「信用」が「お金」に変わることと、「無料公開」が「広告」として最強だとしています。
これからの時代は経験だけでは勝てません。今までにない新しい時代を泳ぐ力が求められます。そんな西野氏の『革命のファンファーレ』から、私たちが現代を生き抜くためのヒントを、見ることができます。

革命のファンファーレは鳴った

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お笑い芸人、漫才コンビ・キングコングの西野亮廣氏が執筆したビジネス書『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(幻冬舎)が刊行されました。『お笑い芸人がビジネス書?』と驚く人も多いかもしれませんが、西野氏は『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』(主婦と生活社)というビジネス書も刊行しており、本書はビジネス書としては2冊目となります。特にこの『革命のファンファーレ』の中に書かれていることは、ネットを上手に活用するマーケティング戦略です。今の時代にマッチしていて、参考にしたいことも多くあります。

まず、西野氏は「はじめに」で、若者世代の「『やりたいことが見付からない』という言い分を僕はまるで理解できなかった」と言います。しかし、これからは「職業に寿命がある」時代になっていくから、一つの仕事にこだわるのではなく、「やりたいことを掛け持つことや、やりたいことに迷うことは、これからの時代を生き抜く術だ」と唱え、「やりたいことが見付からない」のが当たり前、だと訴えます。

オックスフォード大学が2013年に「今後なくなる仕事」を予測したことが、話題となりました。ITやAIが進化するに従い、現在の職業の約半数はなくなると言われています。また、それに伴い、今はない仕事が増えるとも。
そんな不透明な時代で、やりたいことを見付ける方が難しいのは事実です。それを西野氏は「今の時代に『〇〇になる!』と肩書を一つに決め込む方が、よっぽど危険だ」と言い放ちます。現に西野氏はお笑い芸人以外にも絵本作家、俳優という肩書も持っています。

西野氏は「インターネットは『上下関係』を破壊し、『水平関係』を作る」と指摘しています。そして、アメリカの経営学者、フィリップ・コトラーが提唱した「マーケティング4.0」でも、同様の指摘があります。

コトラーが豊富な経験と調査から考察を導き出すのに対し、西野氏は「僕らは自分自身の手や足を使い、僕らの身の回りに起こっている変化を、学び、実践し、思い知り、対応していかなければならない」と言うように、自身の経験というアプローチからコトラーと同じように時代を的確に捉えている、と言える気がします。

以下に、『革命のファンファーレ』から、ビジネスパーソンに役に立つパートをピックアップしてみます。

お金を稼ぐな。信用を稼げ。「信用持ち」は現代の錬金術師だ

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西野氏はタレントには「人気タレント」と「認知タレント」がいると言います。認知されているだけのタレントに信用はなく、信用されて初めて人気タレントになるのだと。
そう言われれば、ビジネスの現場でも「人気のある人」と「認知されているだけの人」に分けられるかもしれません。人気のある人には人が付いてきますが、認知されているだけの人には人は付いてはきません。

西野氏は「タレントとして信用を勝ち取る為に、まず「嘘をつかない」ということを徹底した」と言います。グルメ番組の仕事ではまずいものをおいしいとは言わない。また、初めからおいしいと言わなければいけないようなら、そんな仕事は受けない。
「タレントは嘘をつかざるを得ない環境に身を投じ、信用を失ってしまうわけだ」と言います。

タレントの裏の苦労がうかがい知れますが、ビジネスの世界においても同様です。
“嘘”をつかないことは当たり前としても、”嘘”をつかざるを得ない環境に身を投じてしまい、その結果、信用を失っては元も子もありません。そのため、西野氏が言う「信頼関係のないところはボイコットする」というスタンスは、大切なことだと考えられます。
また、「意思を明確に表明できる環境を作っておく必要がある」というのは明確です。そして、「嘘をつかなくてもいい環境を作ることが大切だ」という指摘も納得できます。

そこまで”嘘”をつかないことにこだわるのは、現代が”信用”がモノを言う時代だからです。
「嘘つきはキチンと痛い目に遭う。信用が離れ、お金が離れていく」と言います。お金を稼ぐことを目的とするのではなく、信用を稼ぐことを目的とする。そうすることで信用がお金になっていく。「信用持ち」こそが現代の錬金術師だ、と西野氏は唱えます。

無料公開を批判する人間に未来はない

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西野氏は自身が手掛けた絵本『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)をネットで無料公開したことで話題となりました。しかし、そのことに多くの非難の声が上がったといいます。

正直に言うと私もその一人です。今では、多くの作家の作品が、悪意ある者によって著者に無許可でネットに公開され、そのため作品が売れない、ということが日常的に起こっているからです。

作品の無料公開は、作品の価値を下げると私も思っていました。
しかし、西野氏は「批判が、いかに時代錯誤であり、いかに自分達の首を絞め、いかに未来を先送りにしてしまっているか」と言います。なぜなら、『えんとつ町のプペル』は無料公開によってさらに売れたからです。

「『良い作品を作れば勝手に売れる』という幻想は今すぐ捨てた方がいい。良い作品を生むなんて当たり前の話で、それだけでは、まだスタートラインにも立てていない」「お客さんの手に届くまでの導線作りも、作品制作の一つだ。導線作りができていない作品は『未完成品』という認識を持った方がいい」

ただ、やみくもに無料公開すればいい、ということではありません。それを広告として活用する戦略が求められます。
西野氏は無料公開したのは「マネタイズのタイミングを後ろにズラしているだけの話」と言います。つまり、無料公開することで認知を高め、そのことで購入してくれる人が増えることを狙ったのです。
「入口を無料にすることで、更に大きな見返りを狙っている。時間差でお金は発生している」と書いています。

そう言われれば、私が『えんとつ町のプペル』を知ったのは”無料公開”という記事を目にしたことだし、『えんとつ町のプペル』は購入しなかったものの、そのことで西野亮廣に興味を持ったのは確かで、それがこの記事につながっているのは事実です。

西野氏は「『全てのサービスには、利用したその瞬間にお金を支払うべきだ』ということが常識になっている人からは、当然、入り口が無料のツイッターやグーグルやヤフーやテレビといったアイディアは出てこない」と手厳しい意見を投げ掛けます。
無料で見たり聞いたり読んだりすることが普通となった現代において、過去の常識にとらわれていては、ダメだということを改めて感じます。西野氏の言う「先回りして、売り方をデザインする必要がある」ということが今後、強く求められるでしょう。

踏み出す「勇気」は要らない。必要なのは「情報」だ

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最後に、西野氏はこう説きます。
「『勇気がないから一歩踏み出せない』と言う。これは違う。大間違いだ。行動することに、勇気は必要ない」。

そして、必要なのは「勇気」ではなく、「情報」だと言います。

「子供の頃に一人で乗れなかった電車に、今、あなたが一人で乗れるようになったのは、あなたが勇気を手に入れたからではない。『電車の乗り方』いう”情報”を手に入れたからだ」

これからの時代は過去の「知識」や「経験」で泳ぎ切ることはできません。
今までにない新しい時代を泳ぐための「情報」を収集する力が求められる。

ここに、私たちが現代を生き抜くヒントが、隠されているのかもしれません。

大橋博之
インタビューライター・編集者・ディレクター。インタビューを中心に活動中。
専門はwebメディア、未来、テクノロジー、カルチャー、クールジャパン、採用関係。

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