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AIが繋げる親と子の安心感。みまもりロボット「GPS BoT」が作る、新しいコミュニケーションの形

2018.07.06

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子どもが巻き込まれる悲惨な事件が目立つようになり、不安を抱える親が増えています。特に、外出先で親が付き添えないときなどは「誰かに子どもをみまもって欲しい!」と願うのではないでしょうか? その役割をAI(人工知能)を搭載した超小型ロボットが代行する、という画期的なサービスがあります。それが、位置情報見守り AI ロボット「GPS BoT(ジーピーエス ボット)」です。開発・販売元のビーサイズ株式会社の八木啓太社長にお話を伺うと、防犯グッズではなく、新しい家族の絆を作るコミュニケーションツールであることがわかりました。幼いお子さんを持つパパママには、必読の内容です!

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ビーサイズ株式会社 代表/デザインエンジニア 八木啓太さん
1983年生まれ。2011年に家電ベンチャー・ビーサイズ株式会社を創業。6畳間でひとり開発・量産・販売した「LEDデスクライトSTROKE」が国内外のデザイン賞を多数受賞。「ひとりメーカー」として、様々なメディアで話題に。

AIが“監視”ではなく“みまもる”

「GPS BoT」本体。目薬のケースのような小ささで46gと軽い

「GPS BoT」本体。目薬のケースのような小ささで46gと軽い

「自分の子どもが生まれることになり、『子どものために何かできないか?』と考えるようになりました。かつての地域コミュニティーには大人の目が多く、それが子どもを危険な所に行かせないための歯止めになっていました。でも、今はそのような地域の繋がりは薄れています。誰かが子どもをみまもる必要があるけど、できない。その隙間をテクノロジーで埋めようして開発したのがGPS BoTでした」

GPS BoTとは、子どもをみまもるAIロボットのことです。

縦50㎜、横50㎜、高さ19㎜の手のひらにすっぽりと収まる小さな本体にはSIMカードが入っており、位置情報を発信し続けます。そして、本体を子どものランドセルに入れてスマホの専用アプリを開けば、いつでも子どもの居場所を知ることができます。

MicroUSBで充電が可能で、1回の充電時間は2~3時間。一度の充電で3~7日間(約3分に1回の現在地更新モードの場合)使用できるため、休日に充電をして、平日はランドセルに入れっぱなしにできます。この使いやすさも人気の理由のひとつです。

さらに、携帯電話各社や警備会社で高機能が特徴の類似商品やサービスなどがありますが、GPS BoTはあえて機能はシンプルにしています。

「技術的には、ボタンを付けたり、音を出したり、様々な機能を追加することは可能でした。ですが、それらは取り除きました。学校には学校のルールがあり、音を出したりしておもちゃになるようなものは持ち込むことができません。でも、これは他に遊びようがないので、学校からも許可が下りやすくなっています」

「性能」「使いやすさ」「利用コスト」などを総合判断してGPS BoTを選ぶ親が増えています。

定期的に位置情報を特定するため、通学や下校のルートなども細かくわかり、現在位置までの動きが一目瞭然

定期的に位置情報を特定するため、通学や下校のルートなども細かくわかり、現在位置までの動きが一目瞭然

類似商品との最大の違いは、GPS BoTにはAI機能が搭載されていることです。AIが子どもの生活習慣や行動ルートを学習して、使うたびに進化していきます。頻繁に訪れる場所をAIが判断して、通知スポットとして登録をするかを自動で提案してくれます。

通知スポットというのは、そのエリアに入ると親のスマホにPUSH通知が届くスポットのこと。例えば、頻繁に訪れる小学校と自宅を登録するとしましょう。

子どもが小学校のエリアに入ると「○○ちゃんが小学校につきました」とPUSH通知が携帯電話に届きます。授業が終わって子どもが小学校のエリアを出ると「学校を出ました」、自宅に戻ると「自宅につきました」と通知が来ます。親は何もしなくても子どもの状況を把握して、安心することができるのです。

「GPS BoTがあれば保護者は何もしなくていい、という目標を掲げてスタートをしています。現在の親御さんはいつも忙しく働いていますので、ユーザーの選択肢を無駄に増やさず、時間を奪わないことが重要なサービスメリットだと思っています」

親が心配になるのは登下校の時。学校や自宅など事前に登録をしたスポットにいることがわかれば、親は安心ができる。

親が心配になるのは登下校の時。学校や自宅など事前に登録をしたスポットにいることがわかれば、親は安心ができる

さらにAIが本領を発揮するのは、子どもが通常のルートを外れたとき。つまり、迷子や誘拐など、トラブルに巻き込まれそうなときです。

その場合は「ルートから外れています」とAIが異変を察知して、PUSH通知を送ります。GPSの位置情報は、業界でも最高頻度の1~2分間隔、または約3分間隔で特定ができます。子どもの動きに異変があれば、親は早い段階で気がつけるため、突然のトラブルに対して早期対応ができます。(※こちらの機能は2018年秋頃リリース予定)

GPS BoTがもたらす、新しい家族のコミュニケーション

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GPS BoTは防犯という観点でも優れていますが、八木社長は商品に対して別のイメージを持っていました。

「防犯という言葉はどちらかと言うと“非日常”のイメージですが、この商品は“日常”のコミュニケーションをサポートするツールだと考えています。例えば、突然の大雨や電車の遅延などで子どもの身動きがとれなくなった場合、すぐに駆けつけることができます。また、子どもの帰宅のタイミングに合わせて食事を作り、美味しい出来たてを食べさせてあげることもできます。GPS BoTによって、新しいコミュニケーションが増えると思います」

実際にGPS BoTを使っている方は、どういう感想を持っているのでしょうか?

「『何かあればAIが知らせてくれるので仕事に集中できます』という親御さんの声が多いですね。仕事中にお子様を心配してしまうと思考の一部がそこに使われてしますが、そこをAIがサポートできれば、仕事のパフォーマンスが上がります。そして、1秒でも早く仕事を終わらせてもらって、自宅に戻り、子どもと一緒にいられる時間を少しでも増やしてもらえたらと思っています」

精神的な安心感は、親だけでなく、子どもにもあるようです。

「あるお子様は『これがあればママが近くにいる気がする』ということで、親離れをしてひとりで行動をするきっかけになりました。防犯グッズは“そっちに行ってはダメ”と行動を制限していくものですが、GPS BoTは逆で、みまもられている安心感があるので“世界を広げる冒険の手助け”にもなっているようです」

3つの方式で正確な位置情報を取得

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正確な位置情報取得のために、GPS BoTでは3つの方式を使っています。それは、GPS衛星の電波からの位置の特定、周辺のWiFiアクセスポイントの電波からの位置の特定、携帯基地局の電波からの位置の特定です。通信方式は3Gです。

「大切なお子様をみまもるものなので、位置検索の精度向上は怠りません。例えば、WiFiアクセスポイントの位置情報のデータベースは、Googleのデータベースを使用しています。ですが、WiFiルーターは引っ越しなどで移動することがあります。そのような場合は他の位置情報などを含めて総合判断をして修正を加えていきます」
(※環境によっては、位置特定できない場合、数メートルから数十メートルの誤差が生じる場合もあります)

GPS BoTのサービスは、持ち運びに適した本体と、AWSサーバーによる情報管理のふたつで成り立っています。スマホでは1週間分の履歴を確認できますが、サーバーでは過去の全履歴を学習に役立てています。

おもちゃにならないからこそ、学校への持って行かせられる

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商品性能が素晴らしくても、社会実装できなければ意味がありません。

そこで、ビーサイズ株式会社では市場調査を重ねて、顧客のニーズを明確にしました。それによって最重要課題となったのが価格でした。

「月額の使用料はワンコインの500円以下にしたいという想いがずっとありました。どんなに優れたサービスでも価格が高すぎたら、『安心はお金持ちしか買えない』となってしまいます。それでは弊社の理念に適いません。誰もが安心して子育てをしてもらうには、低価格にする必要があります。弊社は、ファブレスメーカーですが、新たに電気通信事業者の登録などをして中間マージンをなくしたり、企業努力で価格を徹底的に抑えました」

GPS BoTは、本体端末が4,800円、月額使用料が480円(ともに税別)と他社のサービスと比べて圧倒的に安いのも特徴です。さらにアプリ使用料、契約解除料、検索利用料なども無料。アカウント登録のリクエストを送れば、祖父母なども一緒にみまもれて、追加料金は一切かかりません。

ビーサイズ株式会社は、社員数が10人程度。決して大企業というわけではありません。ですが、ファブレスメーカーとしてアイデアやデザインに集中することで、パートナー企業とエコシステムを築き、業界でも一躍有名な企業になっています。大企業病のような面倒な問題がなく、コンパクトで人間味のある意志決定が、今までにない商品を生みだしたのです。小さな企業でも、大きな事業が展開できる良い例と言えるでしょう。

テクノロジーで溢れた世界で大切になるもの

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GPS Botは2017年4月の発売から2018年4月までの1年間に、累計10,000台以上を販売。同期間内の月間解約率も非常に低く、満足度が高い商品だというのもわかります。
さらに、子どもの安全を願う気持ちは世界共通であるため、2018年6月15日~12月15日の6カ月間(予定)で、韓国での海外実証実験も開始しました。今後、日本で生まれた”みまもりサービス”が世界に広がっていくことでしょう。

ビーサイズ株式会社では、今回紹介したGPS Botの他に“世界をみまもる知性ロボットBsize BoTシリーズ”として、新商品を続々と発売していく予定です。

その中のひとつが“人感BoT(仮)”と言い、遠方で離れて暮らす高齢者の方をみまもれる商品を開発中です。室内に取り付けることで、住んでいる人の動きを感知して、AIが「室内温度が高いのでエアコンをつけてくださいね」など様々な提案をしてくれます。介護問題や孤独死問題に大きく貢献することが期待されます。

みまもりサービスのように、テクノロジーの進歩によって、今後さらに生活の中にはIoTが導入されていくでしょう。
最後に、八木社長にこれからの時代を生き抜くために大切なことを、聞きしました。

「今後、どんなにテクノロジーが進化したとしても、アナログの経験、つまりは身体で感じた体験に勝ることはないと思います。たとえばIoTにしても、アナログの価値を最大化するものですし。なので、子どもたちには多くのデジタルコンテンツに接するよりも、実際に手で触ったり味わったりなど、五感を通して感じた原体験を多く経験してもらいたいと考えています。そういった経験がないと、人間同士で共通の理解ができなくなるんではないかと思うんです。物理的な体験を五感でしっかりと感じている人は、どんな時代であっても生きていけるんじゃないかなって、そう思うんですよね」


取材協力/ビーサイズ株式会社
2011年9月創業。デザイン、テクノロジー、社会貢献を意識した家電製品を提供するメーカー。発表した製品はそのデザイン性を高く評価されており、LEDデスクライト「STROKE」はGOOD DESIGN賞、ドイツのreddotdesign awardを受賞。ワイヤレス充電器「REST」はドイツのIF product design awardを受賞。
“真善美”という哲学の言葉を創業理念とし、「デザインとテクノロジーで社会に貢献する」ことを会社のミッションにしている。
http://www.bsize.com/

取材・文/佐々木翔
写真/河野英喜

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