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【気になる移住者】ゲストハウスをテーマに移住&起業。都会ではムリなことも田舎なら!

2018.03.06

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「移住+起業」を実現した阿部円香さん(27)をインタビュー!
阿部さんは2017年4月、東北のローカル線の駅前に、ゲストハウスとバーをMIXした空間『CAMOSIBA(カモシバ)』を生み出しました。オープンから10ヵ月しか経っていないのに、世界最大の予約サイトbooking.comで約70件のレビューを獲得するなど船出は順調です。
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今回は、阿部さんが人口が急減する田舎町にゲストハウスをつくろうと思った背景や、実際にやってみての感想などを伺ってきました。

撮影:小泉大輔  (外観・内観写真はCAMOSIBA提供)

資金面は意外とクリアできた。壁になったのは社会人経験のなさ

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●そもそも阿部さんは、ゲストハウスをつくるために移住(故郷の秋田県横手市にUターン)したんですか?

Uターン直後は「就職しようかな?」という迷いも少しはありました。あとは何かの形で家業(100年続く味噌屋)の力になりたいという気持ちもありましたね。

●あー、いろいろ迷ってる感じで田舎に戻ってきたんですね。

で、最終的にゲストハウスをやろうかなーという所に落ち着きました。

●めちゃくちゃ飛びましたね笑。

東京の大学生だった頃から「いつか田舎に帰ってゲストハウスつくりたい〜」というフワッととしたイメージがあったんです。で、せっかく帰ってきたんだから、そのイメージをカタチにしよう!という気持ちで『CAMOSIBA』を立ち上げることにしました。
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●現実化してみてどうでしょう。一番タイヘンだったのは何でしたか?

資金面は意外とクリアできましたね。クラウドファンディング、公共団体の助成金、金融機関からの融資などを組み合わせて必要な額を集めました。

●大きな蔵をリノベーションしてるので、資金面で苦労したのかな?と想像してたんですけど、そこはあまり問題ではなかったと。

費用がかかるのは、はじめから分かってましたから。壁になったのは「社会の仕組みが分からなかったこと」ですね。私は大学を卒業してゲストハウスをつくったので、ビジネス経験がなかったんです。だから、経営とか雇用の知識がなくて、何をするのも手探り状態でした。

●その難題をどう解決しましたか?

周囲の年上の方々に、片っ端から聞いて教えてもらってます!

●とにかくみんな面倒見がいい、これは田舎での起業ならではでしょうねー。

都会では不可能なことも、田舎なら実現できる

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●他にも田舎で起業するメリットはありますか?

都会だったら費用がかかって不可能なことも、田舎では実現しやすいことでしょうか。たとえば都会だったら、蔵をリノベーションして新しい空間にすることはムリです。資金力のある企業ならまだしも、一個人の、しかもビジネス経験のない私にはハードルが高すぎます。

●たしかに…都会で同じことをしようと思ったら途方もない費用が必要ですね。このゲストハウスは、広さもそこそこありますよね。『CAMOSIBA』の概要は?

今、インタビューをしてる場所は、発酵バル(酒場)になっています。私の実家が味噌屋、こうじ屋ということもあり、「発酵」をテーマにしたメニューを提供しています。この場所のすぐ裏手に計4部屋のゲストハウスがあります。最大の宿泊人数は17名ですね。
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●阿部さんがこの建物を見つけた時は、どういう状態だったんですか?

しばらく使われずに放置されていました。蔵の役目を終えた後は、お茶屋さんの店舗として利用されていたようです。建物全体の雰囲気もいいですし、細部も気に入っています。レトロな階段箪笥、ガラス戸、立派な梁…。
私の実家はここから車で5分ほどの場所にあるんですが、まさかこんな近所に「価値のある建物があったのか!」と驚きました。私が建物探しに苦労していたところ、たまたま知人が紹介してくれたんです。
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●立地も魅力ですね。『CAMOSIBA』はJR奥羽本線の十文字駅から徒歩数分のところにあります。

雰囲気の良い建物でさらに駅近となると、ほんと都会だったら難しい。私自身、旅が好きで、いろんなゲストハウスをまわったり、手伝ったりしてたんです。その時に、「ゲストハウスは駅近が大事」という運営者の意見を聞いていたんですが、実際に自分がやってみて、ほんとだなーと実感しますね。
ここは電車だけでなく、高速道路のI.C.も近いんです。観光地ヘのアクセスも便利で、蔵の街として注目されている増田にも路線バスで行けますし、日本一深い田沢湖にも電車で行けます。

●田舎に埋もれている価値あるものを掘り起こせば、都会ではできないカタチで起業が出来ますね。ただ、身近にあるものの価値に気づけるかがポイントですね。

人口減少はまったく気にならない。その真意は?

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●『CAMOSIBA』には、どのエリアからお客さんがやってきますか?

国内だと関東エリアから来る方の比率が多いですね。あとは海外から来る方もかなりいます。

●発酵バルは、宿泊客専用の飲食スペースなんですか?

いえ、飲食だけのご利用も歓迎ですよ。夜になると、発酵バルにやってきた地元の方々と、ゲストハウスの宿泊者の交流がはじまります。立ち上げ前に描いていたイメージ通りのスタイルで『CAMOSIBA』はみんなに利用されています。細部は改善すべきところが多々ありますが、今の方向性を大切にしながら、このゲストハウスを育てていきたいですね。
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●最後に…『CAMOSIBA』がある秋田県横手市の十文字エリアというのは、人口1万数千人くらいの街ですよね。これから、ますます人口減少が進むと思いますが、そのへんはどう考えていますか?

人口減少が進んでいるからといって、ネガティブに考えることはないですね。人口が減っても、田舎の強みである「人と人のつながり」を活かせば乗り越えていけますよ。たとえば、地域コミュニティを生かした例としては、今度、CAMOSIBAのご近所のお寺と「写経&御守りづくり体験」なんて企画も予定しています。

●ここにCAMOSIBAがあることは、地域コミュニティの刺激にもなりそうですね。

そうなれば嬉しいですね。あとこのへんには、面白いことをしている先輩たちがたくさんいるんですよ。人口が少ない分、お互いの存在が見えやすいんで、エッジが効いた人たち同士で繋がって、いろんな企画や活動をしています。こういう流れが残ってる限り、人口減少は個人的にはまったく気になりませんね。田舎は今でも面白いし、これからさらに面白くなると思いますよ。

●阿部さんのお話を伺って、田舎で暮らすことの意味というか、可能性を改めて自分の中で整理してみようと思いました。ほんと、ありがとうございます。

『CAMOSIBA(カモシバ)』公式サイト http://camosiba.com/index.html

※記事内の外観写真は、春〜秋の時の雰囲気です。冬季のCAMOSIBAはこんな感じです。

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東北奥の奥ライター/本間貴志
自己紹介文面:ビジネス書籍の編集会社「アスラン編集スタジオ」の正社員ライターを経て2015年、秋田県湯沢市にUターン。テレワークを活用して、数多くのメディアで執筆活動をしている。得意分野は、ビジネス、経済、新しい働き方など。

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