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炎上を経験した北条かやさんが語る、“ネットに振り回されない方法”とは?

2018.03.13

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情報発信をしていく過程で、不適切な発言によって自分のブログやTwitterが炎上(非難コメントが殺到して収集が付かなくなる状態)してしまうのでないかという悩みは、誰もが持つと思います。

炎上や批判に対して、私達はどういう対策を取ればよいのでしょうか?

そこで、実際に炎上を経験した社会派ライターの北条かやさんに、お話を伺ってみました。

北条かやさんは、京都大学大学院修士課程修了の、作家兼ライターです。
大学院の修士論文のテーマとして始めたキャバクラでの体験をまとめた書籍『キャバ嬢の社会学』(星海社新書)によって、27歳で作家デビュー。その後も『整形した女は幸せになっているのか』(星海社新書)、『本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)、『インターネットで死ぬと言うこと』(イースト・プレス)など、女性ならでは悩みやインターネットでの悪戦苦闘を、独自の視点で執筆しています。

北条さんはSNSの独自の発言によって注目を集めていきましたが、それに比例するように誹謗中傷も増えていき、ある事件をきっかけに炎上を経験します。

それがきっかけとなり、自殺未遂まで……

ネットの世界の光と闇を知っている北条さんに、ネットに振り回されない方法を教えてもらいました。

炎上をきっかけに自殺未遂

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「私が炎上を仕掛けていると思っている方もいらっしゃいますが、そんなことはなくて、普通にコメントをしていたらそうなってしまいました。そもそも、私が扱いたいネタというのが、多くの人の関心があり、なおかつ自分も興味を引くような、賛否両論がでやすいネタだったからだと思います。炎上を恐れて、誰も興味がないネタを書く気には、あまりなれなくて……」

と語る北条さん。

彼女の文章を読むと、短い言葉で物事を端的に表現することが多く、共感も批判も生まれやすい、個性的な表現であることが分かります。それが人気となり、学生時代から始めたTwitterではフォロワー数が次第に増加。一時期は月に40本以上原稿を執筆するようになっていました。

しかし2016年に、書籍のタイトルや過去の発言が差別的であるとして、炎上事件が発生しました。北条さんはTwitter上で意見や自分なりの解釈を伝えましたが、結果的にはそれが火に油を注ぐことになってしまったのです。

「『炎上は有名になった証だからいいじゃないですか』と言う人もいますが、される方としてはそんな気持ちにはなりません。自分に関することなのに、自分ではコントロールできないくらいに事態が拡大していく感覚は、非常に怖かったです」

ネットでの評価がどうしても気になり、エゴサーチ(自分の名前などを検索する行為)をして、自らを追い込み過ぎてしまいます。そしてついには、自殺未遂まで。

「炎上がきっかけで、“死んでお詫びをしなければ”と考えるようになり、そういう行動をとってしまいました。冷静に考えれば、アカウントを消せばよかっただけなのに。私にとってはネット上の存在であるペンネームの“北条かや”の割合が多過ぎて、“現実の自分を消さなくてはいけない”という思考になってしまいました。今思えば、バカなことをしたなと後悔しています」

ですが、炎上の本当の怖さは、一瞬だけでは終わらないところです。

「一度、炎上してしまうと、そのイメージが付いてしまいます。すると、批判をする人達は私の過去のコメントもさかのぼって、矛盾点がないかを調べ始めます。『デジタルタトゥー』とも呼ばれていますが、ネット上に一度公開されたものは消すことが困難なため、いつまでも後を引きます」

色眼鏡で一度見られると、それを取り除くことは非常に難しいようです。
例えば、北条さんがSNSでお気に入りの化粧品などを良かれと思って紹介しても、誹謗中傷のコメントを寄せられることもあり、結果的には逆効果になってしまうことも。

他にも、離婚した元夫の話や整形の話など、プライベートな情報も掘り出されて、攻撃されることもありました。

「炎上後の対策として一番良いのは、アカウントを消して、一度は存在を消すことだと思います。企業などが運営するアカウントで炎上が発生した場合は、ほとんどがその対応。ですが、私は“北条かや”という存在にこだわりるあまり、成長させてくれた媒体を捨てきれず、同じアカウントを使い続けてしまいました」

ここで大きな疑問がひとつ。

なぜ彼女は辛い経験をしたネットの世界に、今も残り続けるのでしょうか?

それは、炎上騒動によって「自分が本当は何をしたかったのか」を再発見できたからでした。

“好きなもの”より“切実なもの”

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北条さんには、忘れられない言葉があります。
彼女の大学時代、様々なことに興味を持ちすぎて研究テーマを絞り込めなかった時、先輩がアドバイスをくれました。

それが……
『研究テーマ(仕事)は、“好きなもの”より“切実なもの”にした方がいいよ』

「よく『好きを仕事にしよう』と言われますが、好きなだけだと最初は良いのですが、長続きはしないと思います。例えば、何かトラブルがあった時に『好きなものなので我慢をしてでも笑顔でいよう』と無理をしてしまいます。ですが、“切実なもの”というのは、私的には好きと憎しみが半々くらいの感覚で、どうしても追求せずにはいられないようなもののこと。トラブルがあろうが関係なくやり続けてしまうものです」

北条さんがネットで情報発信を続ける理由……
それは、彼女にとって“切実なもの”が、“文章を書くこと”だったからです。

「私は承認欲求が強いので、正直に言えば、自分の名前が売れていくことが嬉しかったんです。私なんかの言葉を誰かが評価して、認めてくれる。ただ、炎上をきっかけにして分かったのは、承認欲求以上に、“文章を書きたい”という欲求が強かったことです。以前までは署名記事(自分の名前での記事)にこだわっていましたが、“北条かや”という名前が足かせになって執筆できないのであれば、そこにこだわる必要はないかと、思えるようにもなりました」

彼女は学生時代からずっと情報発信を続けてきました。ですが、いつしかその発信したものに対しての評価を気にするようになっていました。そして今、離婚、炎上、自殺未遂など様々なことを経験し、余計なものをそぎ落とした結果、一周回って“文章を書きたい”という同じ場所に戻ってきたわけです。

つまり、北条さんにとって“文章を書くこと”というのが、“生きること”と密接に関わっていて、切っても切り離せなかったのです。

承認欲求を暴走させない

これから情報発信をする人に対して、北条さんからアドバイスを頂きました。

「例えば“フォロワーは1万人を目指す”とかの目標を、最初に決めておくことが良いと思います。ゴール設定をしないままに走り続けると、私みたいに承認欲求が暴走してしまって、大変なことになりますよ(笑)」

評価が数値で如実に表されるネットの構造上、“承認欲求の暴走”は起こりやすくなっています。ただ、行き過ぎた承認欲求は諸刃の剣であることを、あらかじめ理解しておいた方が良いのかもしれません。

他にも、炎上対策はいくつかあります。

・自宅を特定されないように、近所や自宅の外観を公開しない
・プライベート情報が漏れないように、リアルタイムで自分がどこにいるか(「~~なう」など)を投稿しない
・家族の情報は、一切載せない

ですが、炎上回避のテクニックを身に着けることばかりにとらわれず、北条さんが言う、自分にとって“切実なもの”を早く見つける方が、良いのかもしれません。

それさえ分かっていれば、彼女のように炎上を経験しても、自分の進みたい道を力強く進んでいくことができるのかもしれないですから。

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取材・文/佐々木翔
撮影/千々岩友美

北条かや
1986年生まれ。石川県出身。同志社大学社会学部卒業、京都大学大学院文学部研究科修士課程修了。作家。ライター。
最新著書は『インターネットで死ぬと言うこと』(イースト・プレス)。
執筆活動のほか、TOKYO MX『モーニングCROSS』などのテレビ出演でも活躍。
公式ブログ「コスプレで女やってますけど」 https://ameblo.jp/kaya-hojo
ツイッター @kaya_hojo  https://twitter.com/kaya_hojo

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