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東京在住14年! 青い目のギタリストが語る“日本人のプロ根性”“おもてなしの精神”とは? マーティ・フリードマン  スペシャル・インタビュー

2018.03.20

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2020年の東京オリンピックに向け、国内では外国人のビジネスパーソンが増加しています。プロデューサー・ギタリストとして活躍しているマーティ・フリードマンさんも、そのひとり。
1990年代にアメリカの人気ヘヴィメタルバンドに在籍し、全世界で2000万枚以上のCDセールスを記録。2004年からは活動の拠点を東京に移し、B’zや石川さゆり、ももいろクローバーZといった人気アーティストたちと共演。2016年には文化庁の“日本遺産大使”に任命され、日本文化を世界に広める活動を展開。さらに2018年2月25日の東京マラソンではエキシビジョン・パフォーマンスも披露しています。
そんなマーティさんが考える日本人の働き方の原動力とは? 我々が気づいていない日本の底力を解き明かします。

米国人ギタリストが日本に移住した理由

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——マーティさんはかつてアメリカの人気バンドに所属し、ワールドワイドな活動をしてらっしゃいました。そのキャリアを捨てて日本に移住した理由は?

マーティ:以前在籍していたバンドのツアーで来日したとき、ZARDやB’z、モーニング娘。の曲を聞いてJ-POPにドハマリしちゃったんです。それで邦楽のアーティストになりたい、J-POPを演奏したいと思って2004年に活動拠点を東京に移しました。

——気になるのは言葉の問題です。不安はありませんでしたか?

マーティ:アメリカにいたときから日本語の勉強はしていましたね。バンドのツアー中にずうっと教科書を読んだりしていたし。あと度胸試しのためにアリゾナ州立大学の日本語弁論大会にエントリーしたこともありました。でも正直に言うと、僕自身はそれほど日本語が上手だと思ってないんです。お笑い芸人のパックンさん(パトリック・ハーラン)や厚切りジェイソンさんくらい上手くなりたいんですけど……彼らには敵わない!

——そして気づいてみれば14年間も日本で仕事をなされていますね。

マーティ:僕は運が良かったと思います。日本に来てからマネージャーさんやまわりのスタッフさんたちと出会えたお陰で、普通のミュージシャンでは経験できないようなことを沢山やらせていただきました。日本遺産大使としての仕事もそうだし、東京マラソンでの演奏も2年連続でやらせていただきました。そういったことが、次のクリエイティブのモチベーションに繋がっていますね。

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——アメリカでの生活が恋しくなることは?

マーティ:あまりないです。海外ツアーが終わって成田空港に着くと、「やっと自分の国に帰って来たー!」って気分になるから。心は完全に日本人。見た目はガイジンですけど(笑)。

日本人のおもてなし=プロ根性は偉大だ!

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——海外で生活し、そこで仕事をしていくのは、文化の違い・慣習の違いなどが浮き彫りにされていくことでもあります。そういう現実にぶつかったことはありますか?

マーティ:良い意味ではありますよ。やはり日本人の仕事の仕方はセンシティブで、すごく細かいです。僕はクリエイターでミュージシャンなので、作品に対しては常に完璧主義です。その趣向が日本人の仕事の仕方とマッチしますね。海外の人々の仕事の仕方は、少し大雑把なところがありますから。例えば向こうのミュージシャンやスタッフたちはライブの前のリハーサルが適当なんです。「このくらいでいいでしょ?」って感じで終わらせちゃう。でも日本では頭から最後まで何度もきっちりやって、すべての段取りを確認します。一番プロ根性があるのは日本人ですよ。

——他の分野でプロ根性を感じることはありますか?

マーティ:身近なところで言うとコンビニですね。アメリカのコンビニって英語をしっかり学んでいないインドの人がぶっきらぼうな接客しかしないところ、っていうイメージなんです。ところが日本の場合は懇切丁寧に「温めましょうか? ◯◯円になります。ポイントカードはお持ちでしょうか? ありがとうございました」って言ってくれるじゃん。しかも最近の日本のコンビニには外国人の従業員さんが増えているけど、彼らも日本式の接客が出来る。これはコンビニを経営する人たちが“プロの接客術” “おもてなしの精神”を教えているんでしょうね。

——おもてなしは、ある意味、日本独特のカルチャーですからね。

マーティ:コンビニ以外でもそういう場面に遭遇しますよね。洋服屋さんで洋服を買うと、店員さんが買った服を外まで運んでくれて、最後にお辞儀までしてくれる。これも海外ではありえない。こういうコンシューマーの気持ちを第一に考えるメンタリティは、日本人独特のプロ根性だと思いますよ。

マーティが語る「働き方改革」

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——その一方、そういう日本人特有の繊細なビジネススタイルが過剰過ぎるという意見も出てきています。特に最近は、働き方改革や長時間労働といったキーワードも声高に叫ばれています。そういう意見に対してマーティさんどう考えてらっしゃいますか?

マーティ:カラダをすり減らすような仕事の仕方はまずいと思いますが……でも、この考え方が強まりすぎると、日本人の持ち味であるプロ根性が失われてしまいそうで心配です。日本のカルチャーは世界的に見ても類を見ない進化の仕方をしています。たとえばAKB48のようなエンターテイメントのシステムが開発されて、それがヒットしたり、アニソン(アニメソング)という分野が開拓されてひとつのジャンルとして大きな人気を得る、といった現象は海外ではまったくありません。こういうアイデアが出てくるのも、日本人のプロ根性ゆえだと思うんです。

——では日本人がプロ根性を失わずに、さらに磨きをかけていくにはどうしたらいいのでしょう?

マーティ:やはり、みんな好きな仕事に就いたほうが良いですよ。だから10代や20代のときに「どんなことに興味があるのか?」「どんな仕事に就きたいのか?」を考えることは、すごく大切だと思います。たとえば、音楽が趣味だけど保険会社に入ってしまったという人は、長い時間働くのが大変だと思います。でも、その人がレコード会社に入っていたら、我を忘れて仕事に没頭するでしょう。もちろん健康には気を使わないといけませんが。

アルバム制作では社長の立場になる

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——ところで、マーティさんが主題歌を手掛けたアニメ『B:The Beginning』がNetflixで全世界で配信中です。そしてマーティさんがプロデュースした同アニメのアルバム『B:The Beginning THE IMAGE ALBUM』もリリースされました。本作はどのような過程で作られたんですか?

マーティ:オファーがあったあと、アニメを全話見てから、その後、アニメ制作の人々と打合せさせていただきました。良い意味でプレッシャーは感じましたよ。『B:The Beginning』の深くて多彩なイメージにシンクロするような曲を作っていかなければならないわけですから。そこでMAN WITH A MISSIONのJean-Ken JohnnyさんやRIZEのKenKenさん(BASS)など20名くらいのミュージシャンやコンポーザーたちに参加してもらって、曲に彩りを添えてもらうことにしました。

——これだけの人数をひとつのプロジェクトとしてまとめ上げるのは大変ですよね。

マーティ:そんなことはなかったですよ。今回はメンバーを自分の色に染め上げるのではなく、出来るだけ彼らのやりたいことをやらせてあげたいという気持ちのほうが大きかったですし。

——部下を使うのが上手い社長みたいな発言ですね(笑)。

マーティ:そうだよ、ここでは僕が社長だよ!(笑)。せっかく僕が好きで選んだメンバーですから、それぞれ自分の持ち味を出していい仕事をしてください、そうしたら絶対に成功するはず、と思っていましたから。で、この作業の中で気づいたことがあったんです。

日本人のもうひとつの強みは“団結力”

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マーティ:日本人のもうひとつの強みは“団結力”です。このアルバムにはいろんな人が参加しているけど、みなさん協力的でした。このプロジェクトを他人のプロジェクトではなく、自分のプロジェクトと同じように愛をこめて責任をもって取り組んでくれました。みんなで、ひとつのものを民主的に平和的に作り上げるのは、すごく日本的な気がする。AKB48や乃木坂46も同じじゃん? あんなに沢山の女の子が集まっているのに、みんな仲が良くて、良いものを作るために同じ方向を見ている。

——同じことを海外でやるとどうなります?

マーティ:海外は良くも悪くも「Me! Me! Me!」の世界だから、みんなが自分の意見を押し通そうとして、まとまらない可能性がありますね(笑)。

——それは厳しいですね。

マーティ:まあ、一長一短の部分もあるんですけどね。日本の強みは団結力だけど、チームワークを重視するあまり、埋もれてしまう人材やアイデアがあるかもしれない。アイドルを見ていても、実は素晴らしい才能を持っているのに目立たない子っていますよね? チームワークも大切だけど、もう少し自分なりの良さを理解してアピールして行くほうが良い結果に繋がると思います。日本人の団結力と、欧米の個人力がバランスよく組み合わせられたら最強ですよ!

構成・文/尾谷幸憲
インタビュー写真/河野英喜

マーティ・フリードマン
プロデューサー、ギタリスト。アメリカでのバンド在籍時に2000万枚以上のヒットを記録。現在は東京を中心に活動し、B’zや石川さゆり、ももいろクローバーZといった人気アーティストたちと共演。
13枚目のソロアルバム『Wall of of Sound』(Word Records)が発売中。Netflixの全世界配信アニメ『B:The Beginning』のイメージアルバム『B:The Beginning THE IMAGE ALBUM』(cutting edge/Revolution Recordings)のプロデュースを手がける。
2018年3月23日(金)に、ラドンナ原宿にてライブ『マーティ・フリードマンLIVE「春の宴 Passionate Guitar」』を開催。詳しくはコチラ⇒https://www.la-donna.jp/events/marty-friedman-passionate-guiter/

(了)

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