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スイッチコラム

辞職・不倫・離婚の原因!? 中年の思春期ミッドライフ・クライシスってなんですの?
– 尾谷幸憲の仕事に効く健康法

2018.07.27

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キャリアを重ねたビジネスパーソンが、ある日、突然、離職してしまう。家族を顧みず不倫・離婚をしてしまう……。こういった現象を欧米では「ミッドライフ・クライシス」と呼んでいるそうです。なぜ人はこんな状態に陥るのか? 毎度おなじみのライター尾谷幸憲氏に解説してもらいました。海外の学者&コンサルの対談もあり。必見です!

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80パーセントの人が40にして惑う!?

ラリホー! どうも、尾谷です。今回、ワークスイッチ編集部さんから与えられたテーマは「ミッドライフ・クライシス」の解説。おう、望むところよ!って感じです。実はですね、これはあくまで自称なんですけど、46歳の筆者は数年前からミッドライフ・クライシスの真っ只中にあるんじゃないか?と思っているんですよ(笑)。

ま、そんな個人的な話は後回しにするとして、そもそもこのミッドライフ・クライシスとは一体何なんでしょう?

ミッドライフ・クライシスとは、40代〜50代前後に起きるアイデンティティ・クライシスのこと。カナダの精神分析家エリオット・ジャックによって名付けられたもので、日本では「中年の危機」「中年の思春期」、思春期とかけて「思秋期」とも呼ばれていたりします。この現象、一部の情報によると80パーセントもの男女が陥るんですって。
ちなみに俳優のキアヌ・リーブスやハリソン・フォードなどのセレブたちも、この心理的状況を経験したことを告白しています。

写真左:キアヌ・リーブス主演の映画『マトリックス』(1999年/ワーナー・ブラザーズ)、写真右:ハリソン・フォード主演の映画『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008年/パラマウント)

写真左:キアヌ・リーブス主演の映画『マトリックス』(1999年/ワーナー・ブラザーズ)、写真右:ハリソン・フォード主演の映画『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008年/パラマウント)

でも、なぜ人はこんな状態に陥るのでしょう? その答えはシンプルかつ複雑です。
人間は40歳前後に、人生の折り返し地点にいることを意識し始めます。仕事では自分のキャリアの上限が見えてくる時期でもありますし、親の老後を見据えるタイミングでもあります。また、家庭を持っている方にとってはお子さんの進学・就職について考えなくてはなりませんし、パートナーやお子さんがいない方にとっても、今後のライフプランと向き合う必要が出てくる。四十にして惑わず、とは真逆の状況になるわけです。

で、こういった仕事やらプライベートの考え事が山積しますと、ある言葉が頭にもたげてきます。

「自分の人生、このままで良いのか?」

こんなことをぐるぐると考えまくった結果、人はミッドライフ・クライシスに陥るんだそうですよ。

あなたのミッドライフ・クライシス度をチェック!

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ではミッドライフ・クライシスになった人は、どんな行動を取るのでしょう?
以下、その代表例です。

●見た目の変化
・若者に流行の髪型にする。頻繁にヘアスタイルを変える。
・ファッションが派手になる。
・アンチエイジングや整形手術にハマる。
・ピアスを開けたり、タトゥーを入れたりする。

●仕事の変更
・会社を辞めてしまう。
・会社に部署異動願いを出す。
・異なる業界、違う職業への転職を考える。
・起業する。

●生活の変化
・突然、スポーツに目覚める。
・ジムに通い始め、身体を鍛える。
・高価なスポーツカーやヨットなどを買ってしまう。
・ヨガやマインドフルネスなどにハマりはじめる。
・インターネットやSNSにハマり始める。
・海外への移住を考え始める。

●愛情・恋愛の変化
・自身の、パートナーに対する愛を疑い始める。
・パートナーの顔を見たくない。一緒にいてイライラする。
・若い恋人を作るなど、不倫に走ってしまう。
・衝動的に離婚してしまう。

ミドルエイジのみなさん、この中で当てはまる項目あります? えっ、俺ですか? ぶっちゃけ半分以上、当てはまってるんですよ、これが(笑)。

ここ5年で、それまでほとんど興味のなかった健康に目覚め、突然ロードバイクを転がしながら身体を鍛えはじめたり、しまいにはこのような原稿を書かせていただくようになりました。ファッションも気づいたら派手になってます(赤いスニーカーを履いたりとか)。おまけにSNSの書き込みも投稿数が多いほうだったりするし、100万円近くするギターを衝動買いしてしまったことも。

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しかも、この数年、「今の仕事を副業にして、別のことをやりたいなー。カフェ作りたいなー。いや、違う。やっぱ海外に移住だ!」とか厨二病みたいなことを漠然と考えることもあります。

そして極めつけが、これ。自分、32歳でバツイチになったので家庭はございませんが、3〜4年くらい前に20歳近く年齢の離れたおねーちゃんとイチャコラしてました! 完全に弄ばれました! ああ、自分で書いてて気恥ずかしいわー。

本場・外国人から見たミッドライフ・クライシスとは?

そんなわけでして、気づいたらミッドライフ・クライシス真っ盛りだった筆者なわけですが、これ、どうしたらいいんですかね? なんか対処しといたほうがいいのかなぁ……。そこで、彼らに訊いてみることにしました。
某大学で教鞭を取る文学博士のフランソワさん(50歳/フランス出身)と、コンサルティング会社勤務で世界各国を飛び回っているアンドリューさん(39歳/アメリカ出身)。ともにミッドライフ・クライシス世代の方々で、筆者の大切な飲み友達でもあります。

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なぜこの外国人たちを召喚したのかといいますと、日本よりも先にミッドライフ・クライシスが広まっていた欧米で生活していたのであれば、その実態や対処法を知っているのではないかと思ったんですよ。というわけで、早速質問です。
フランソワさん、アンドリューさん、欧米ではミッドライフ・クライシスってどんなふうに捉えられているんですか?

フランソワ「日本では新しい言葉かもしれないけど、欧米ではけっこう歴史が古い。1960年代には、すでにその概念はあったよ」

アンドリュー「なので、この考え方は欧米で一般化している。でも、それほど深刻なものではなくて、どちらかというとジョークのネタになっていることが多いな」

フランソワ「確かに。ミッドライフ・クライシスの人の典型的な例として不倫をしてしまう、というのがあるけど、この言葉を“不倫をするための言い訳”として使っている人もいるくらいだ」

アンドリュー「『俺はミッドライフ・クライシスだから、若い女性を口説いていいんだ!』とか(笑)」

フランソワ「明るい未来だ!(笑)。このようにミッドライフ・クライシスは、はたから見るとコメディー的な要素が強い。だから映画で描きやすいテーマだったりする」

アンドリュー「そうだね。ドラマ/映画『セックス・アンド・ザ・シティ』(1998〜2010年)や映画『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008年)で描かれているキャラクターたちは典型的なミッドライフ・クライシス状態だね。コメディーとは異なるけど、『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)も同様のテーマを扱っている」

写真左:映画『セックス・アンド・ザ・シティ[ザ・ムービー]』(2008年/ギャガ・コミュニケーションズ)、写真中央:映画『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008年/ワーナー・ブラザーズ)、写真右:映画『ロスト・イン・イントランスレーション』(2003年/フォーカス・フィーチャーズ/東北新社)

写真左:映画『セックス・アンド・ザ・シティ[ザ・ムービー]』(2008年/ギャガ・コミュニケーションズ)、写真中央:映画『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008年/ワーナー・ブラザーズ)、写真右:映画『ロスト・イン・イントランスレーション』(2003年/フォーカス・フィーチャーズ/東北新社)

フランソワ「映画だけじゃないぞ。今日、電車に乗っていたら、眼の前に『そろそろ老後の年金について考えませんか?』という広告があって、思わず考えさせられた(笑)」

アンドリュー「確かに広告の影響は大きいよね……。実際、高級車や船などは、若い人向けには作られていない。ある程度お金を持っている中年に向けてマーケティングを行っているから」

フランソワ「映画から広告まで……。こうなると、もうミッドライフ・クライシスから逃れられないじゃないか! これは誰かが仕組んだ罠なのか(笑)?」

アンドリュー「フリーメーソンやイルミナティの陰謀かもしれないぞ……(笑)」

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結論。バカボンは正しかった!

少々、冗談のキツイお二人でしたが、彼らと話していてハタと気がつきました。日本のネットでミッドライフ・クライシスを検索すると、危機感をあおるような記事が山ほど出てきます。ところが、海外での実態はある種の「ネタ」みたいなものだったりするわけです(まあ、この概念が昔から存在していた欧米だけに、ジョークとして受け入れられる土壌もあるんでしょうけど)。そう考えていくと、こんなことで悩んでる俺、馬鹿馬鹿しくね?

それに、そもそも「ミッドライフ・クライシスの行動」で上げた項目も、いろんな世代の人に当てはまる行為だったりしますよね? 確かにミドルエイジになってからやると「大人げない!」と言われそうなことばかりですが、自分をミドルエイジらしい自分に無理やり押し込めようとするのも、なんか違うよなー、と。自分の「好き」や「興味」を止めることのほうが不健康な気がしますし。俺、もう、このままでいいんじゃね?

……あれ? 気づいたら、なんだか勝手に自己完結みたいなテキストになっておりますが(苦笑)、もしみなさんも似たようなことで悩んでらっしゃるならば、ひと回りして自己肯定、これがベストですよ。
天才バカボン風に言えば、「これでいいのだ!」。

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尾谷幸憲(おたに・ゆきのり)
1971年生まれ。ライター/エディター。インタビューやコラムの他、グラビアのプロデュースを手がける。著書に小説『LOVE※』『ラブリバ♂⇔♀』『J-POPリパック白書』『ヤリチン専門学校』。リア・ディゾン1st写真集『Petite Amie』構成担当。現在、『東京スポーツ』『ヤング・ギター』等でコラムを連載中。座右の銘は「健康・オア・ダイ」。

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