仕事が上手くいかないと、ネガティブで暗い感情にとらわれてしまう。部下が失敗をすると、職場なのに感情的になる。そういう体験をした方はきっといらっしゃることでしょう。
職場で起こるそうしたネガティブな感情への対応策として、Facebookやintel、そしてNikeやGoogleなど多くの企業で導入されているのが「マインドフルネス」。
マインドフルネスは、うつ病の治療を目的に1991年に開発されました。ですが、20年以上経った今では、先ほどあげた多くの企業で社員に対するプログラムとして導入されています。ビジネスの現場で発生するネガティブな感情が引き起こす、パフォーマンスの低下を防ぐ点が注目を集めたからでしょう。
マインドフルネスを元にしたGoogleのプログラムは数百人が常に受講待ちの人気ぶり!
マインドフルネスの活用でよく知られているのがGoogleです。
「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(略称:SIY)というプログラムをGoogleは2007年に立ち上げました。このSIYこそが、マインドフルネスを元に開発されたプログラムです。
マインドフルネスは認知療法の一種とされます。その認知療法とは、人間の考え方や感じ方に働きかけて、気分の改善をはかる治療法のこと。
そのひとつであるマインドフルネスは、瞑想をベースにしているのが特徴です。瞑想と動作への意識の集中などで、心の中に湧いた思考を一歩離れます。そうして、否定的な考え方を軽減していく療法なのです。心の筋トレと例えられることもあります。
GoogleのSIYは、取り組み開始から9年で5000人以上のGoogle社員が参加。しかも、常に数百人が受講待ちという人気ぶりだそうです。世界有数のIT企業であるGoogleで人気と聞くとその内容が気になります。
2日間をかけて行われるGoogleのSIYは、講義やワーク、対話で構成されるプログラム。それらのワークのうち、特徴的な2つのワークである「食べる瞑想」「歩く瞑想」の内容を見てみましょう。
食べる、歩く。Googleのプログラムは普段の動作で行えるものだった!
1つ目の「食べる瞑想」は、ご飯やナッツなどの食べ物を口にしてそこへ意識を集中するワーク。ご飯などを口にしたら、極端にゆっくりと噛みながら味覚・食感に意識を向けるのです。ご飯は唾液と混ざるとデンプンが分解されて次第に甘みが増していきます。その変化に集中するのです。
普段の食事では、意識せずに流れ去るそうした変化。それに対して「食べる瞑想」では、自分の口の中で起こっていることを味覚と食感の総動員で意識することで、自分自身と向き合う時間を作ります。
2つ目の「歩く瞑想」は、文字通り歩きながらも行える瞑想です。ワークの時だけではなく、毎日15分間続けるとさらに効果的。食べる瞑想が食べることに意識を集中したように、「歩くこと」に意識を集中ワークです。着地している足の裏がかかとから地面を離れ、空中に浮き上がり、そしてつま先から地面に着地する。その瞬間瞬間に、研ぎすませた意識を集中します。
「食べる瞑想」「歩く瞑想」ともに、実際に行ってみると口の中や足の裏からついつい意識が離れがち。すると、様々な雑念や感情が浮かんできてしまいます。口や足から意識が離れたことに気づいたら、口の中や足の裏に再び意識を戻すのです。
ストレス軽減と新たなアイデアを生む、マインドフルネス2つの効果
GoogleのSIYはもちろん、マインドフルネスも前に述べたようなワークを行うことで次のマインドフルネスの状態を実現します。
マインドフルネスの状態とは、
-目の前に起こっていることに集中できるようになること。
-好奇心、寛容さ、受容の姿勢をベースにしてその瞬間に体験していることをそのまま受け止めること。
(引用:日経ビジネス)
このマインドフルネスの状態では、次の2つの効果が期待できます。
1.人間関係のストレスを軽減させる
ストレスや不安が軽減され、雑念をネガティブに捉えることも無くなります。そうした感情をこれまで引き起こしていた問題に対して、解決に向けた行動を起こすことができるようにもなります。
また、感情の安定によって社員個々人のパフォーマンスが向上することが期待されます。職場の人間関係に悩み、仕事のアウトプットに悪い影響を及ぼしていた不安などが軽減できるからです。
2.自分に無かった考えを排除しなくなり、新たなアイデアが生まれる素地も
その瞬間の体験を受け止められるようになることは、ビジネスシーンで接する相手への思いやりにも繋がります。すると、自分と相手のアイデアが組み合わさることで新たなアイデアが生まれる素地にも寄与。なぜなら、相手への思いやりは、自分には無かった相手の考えを排除しなくなるからです。
今日、この時間から取り入れられる!「マインドフルネス」2つの方法
GoogleのSIYは、2日間にわたるカリキュラムですが、マインドフルネスのエッセンスは簡単に試せます。
ここでは、オフィスの椅子に座ってできるものと、オフィス内に限らず電車の中でも気軽に試せるものをご紹介します。
身体に気づくプラクティス
1. リラックスして椅子に座る。自分の身体が旗になったようなイメージを浮かべる。
2. 自分の意識を身体に向け、身体の重さを意識する。
3. 目を閉じる。
4. 意識が身体から離れたら、椅子の上の身体の物理的な感覚にそっと戻す。
5. 痛みなどの不快感が出てきても、その感覚を興味深く観察していく。呼吸に気づくプラクティス
1. 呼吸に意識を向ける。鼻の穴、お腹、胸など、自分が呼吸を感じやすい場所ならどこでもOK。
2. しばらく、ただ呼吸を観察する。
3. 意識が呼吸を離れたら、そっと呼吸に意識を戻す。
(参考:Buzz Plus News)
マインドフルネスで始まる良いことの連続で「仕事力をUP」!
「こんなことで悩みたくない」と思うのに、つい気にしてしまう。そのストレスが翌日の仕事にも影響して、別の失敗を生んでしまう。こんな経験をした方もいらっしゃるかもしれません。
マインドフルネスは、そういったストレスから離れることができます。それだけでなく、相手を受け入れ、新しいアイデアが生まれる良い連鎖反応も先ほどご紹介したとおり。
先ほどご紹介したマインドフルネスのワークやプラクティスを、毎日のちょっとした時間に試してみてはいかがでしょうか。そうした良いことの連続であなたの仕事力をUPするためにも。