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1000人が熱狂する箕輪編集室とは? オンラインサロンから読み解く、次世代のチームビルディング

2018.06.08

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『多動力』『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』『人生の勝算』。数々のヒット作を世に送り出している、幻冬舎の編集者である箕輪厚介(みのわ・こうすけ)氏。

2017年4月にNewsPicksと幻冬舎の出版共同レーベル「NewsPicksBook」を立ち上げるばかりでなく、自身の会社「波の上商店」を設立。企業や個人のコンサルティング・プロデュースを手がけている。

さらにオンラインサロン「箕輪編集室」の主宰や、今年に入ってからはCAMPFIRE communityのチェアマンへの就任も決定するなど、ファンを巻き込んでビジネスや物作りをする“次世代”コミュニティビジネスのど真ん中にいる箕輪氏に、コミュニティにおけるチームビルティングについて聞いた。

書影

『多動力』(著:堀江 貴文/幻冬舎)
『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(著:佐藤 航陽/幻冬舎)
『人生の勝算』(著:前田裕二/幻冬舎)
『日本再興戦略』(著:落合 陽一/幻冬舎)
『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜 』(著:佐渡島 庸平/幻冬舎)
『読書という荒野』(著:見城 徹/幻冬舎)

■箕輪編集室とは
新しいクリエイティブ集団を目指す最も勢いのあるオンラインサロンで、月額5,940円(2018年5月現在)を支払うことで誰でも参加可能。
サロンでは見城徹氏(幻冬舎代表取締役社長、2018年6月6日に『読書という荒野』を幻冬舎より発行)や放送作家の鈴木おさむ氏、メディアアーティストの落合陽一氏など業界トップランナーをゲストに迎えた講演会の開催や、箕輪氏が編集を担当する書籍のプロモーション制作などをしている。
サロン内にはライターチーム、デザインチーム、イベントプロデュースチームなど様々なチームが存在。チームリーダーを中心に月額Webマガジン発行やバナーデザイン、PR動画制作、1500人規模のイベントを開催するなど多種多様なプロジェクトが展開されている。
箕輪編集室 https://camp-fire.jp/projects/view/34264

1000人が熱狂する箕輪編集室

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―箕輪さんは現在「箕輪編集室」というオンラインサロンを主宰されていますよね。「オンラインサロン」という名称を初めて聞くという人もいると思うのですが、どういったものなのでしょうか?

箕輪:明確な定義はないんですが、同じ趣味や価値観で集まったコミュニティをアップデートしたものですね。要は、今まで「同じ趣味を持つ仲間集まれ!」という張り紙を見てカルチャーセンターのようなオフラインの場に集まっていたのが、ネット上のオンラインの場に集まってバーチャルな組織を形成しているイメージです。

今はリアルに会ってコミュニケーションを取るよりも、スマホ上でやり取りする方が圧倒的に早いので、現代に合ったコミュニティの形と言えますね。

―箕輪編集室ではどのようなことを行なっているんですか?

そもそもオンラインサロンには、ファンクラブ型とプロジェクト型という2パターンがあります。

ファンクラブ型は主催者のことが好きで集まっている、いわゆるタレントのファンクラブのような関係です。一方、プロジェクト型は主催者が象徴的な人間になって、その価値観の元(箕輪編集室でいう書籍のプロモーションなどの)、いろんなプロジェクトをサロンメンバーと一緒に進めて行くといったものです。

箕輪編集室はプロジェクト型なので、僕がポンっと投げたアイデアをプロジェクト化して全員で進める場合や、サロン中で立ち上がっている色々なチームの中から自然発生的にプロジェクトが生まれていることもあります。

図1 箕輪編集室で行われている主なプロジェクト

図1 箕輪編集室で行われている主なプロジェクト

(編集部注)
箕輪氏がコミュニティに加入しているメンバーに対し、facebookの非公開コミュニティ“箕輪編集室”内や自身のTwitter上でアイデアを発信したことによって始まったプロジェクト。
基本的には一番早く手を挙げたメンバーがリーダーとなり、協力者を募ってプロジェクトを推進する(意欲的なメンバーが多いため、リーダーは数分で決定する)。
また、箕輪氏が主催するイベントのプロモーション動画などは、箕輪編集室のメンバーが本人に依頼されてないにも関わらず自主的に制作し、唐突に思えるようなタイミングでインターネット上に公開することなどもある。

図1のプロジェクト 詳細
・編集/記事制作『MONDAY MINOWA』
箕輪編集室内の“ライターチーム”が運用をしている月額制有料note(毎週月曜日公開)。
2018年5月時点では、次のようなコンテンツが掲載されている。【特集】 業界トップランナーと箕輪厚介との対談記事やインタビュー記事、【編集2.0】(連載) 箕輪厚介による編集論、【箕輪の流儀】(連載) オンラインサロン運営等のノウハウ記事

・ラジオ『出版3.0時代の「未来の作家のカタチ」』
箕輪編集室内の“映像・音声チーム”が運用しているインターネットラジオ(毎週火曜日配信)。
DNAパブリッシングの末吉宏臣氏がナビゲーターとなり、“編集”や“コミュニティ”に関連したトークテーマで1回約10分間のラジオを配信している。

・イベント『革命のファンファーレ1万冊完売プロジェクト』
2018年3月に行われた、書籍『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(幻冬舎・刊)のプロモーションイベント。箕輪編集室内の“イベントチーム”が企画、会場探し、資金調達(クラウドファンディング)まで行い、当日は秋元康、小山薫堂、堀江貴文、藤田晋、西野亮廣、前田裕二、大石絵里といったそうそうたるメンバーがゲストとして参加した。

・『箕輪大陸』
箕輪編集室内の“箕輪大陸チーム”が制作するドキュメント映画。脚本、撮影、編集など全てをチームメンバーで行っており、2018年8月28日にユナイテッド・シネマ豊洲にて限定上映予定。箕輪大陸チームは、約半年間にわたって箕輪氏への密着取材を行い、多数の地方での登壇イベントや深夜の打ち合わせ風景などの撮影を行っている。

・動画/プロモーション
箕輪編集室内の“映像・音声チーム”が制作する箕輪氏主宰のイベント用プロモーション動画。ゲストを招いたイベントごとに制作されており、依頼から半日~1日のスピードで動画が出来上がる。前述のように、中には依頼前に制作されるものもある。

オンラインサロンと会社、モチベーションの違い

―オンラインサロンの多くは月額制で、参加者はお金を払ってプロジェクトに参加しているんですよね。会社と違って報酬がないのに働くのはなぜなんでしょうか?

堀江(貴文)さんや見城(徹)さん、そして僕もそうなんですけど、遊びなのか仕事なのか分からないという状態が24時間続いてるんです。

「長時間働くのが辛い」という発想は労働者の感覚。これからの時代は遊びが仕事になる。まさにこの感覚を生み出したのがオンラインサロンで、お金の向きが変わるだけで仕事がエンタメになるんです。
やりがい、面白さが得られる仕事をお金を払ってでもやりたい、と思うのは時代の流れだなと思いますね。

図2 会社とオンラインサロンにおけるお金の流れとモチベーションの差

図2 会社とオンラインサロンにおけるお金の流れとモチベーションの差

―そのやりたいことを見つけるのは難しいのでは?

やりたいことってそうそう見つからないと思います。何かのきっかけでやってみたら、他のことよりも夢中になって初めて「これがやりたいことだったんだ」って気付く感じじゃないかな。

箕輪編集室ではゲストを招いたトークイベントなどを定期的に行っているので、必ずしもどこかのプロジェクトに入って自分で手を動かすという必要は、ありません。つまり、プロジェクトに参加させる強制力がないんです。そうすると、“何かをやりたい”という気持ちを持っている人は、自然と自分から手を上げることになります。一方、会社はある種強制的にやりたいかどうか関係なく仕事が与えられます。

当然最後は自分がやるかやらないかで、自分からやりたいと思ったものはモチベーションが高まります。

人々を熱狂させる鍵は“フォロワーがいるか”

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―やりたいことがあるとと同時に、リーダーの求心力も必要ですよね。箕輪さんが考える“オンラインサロン主催者の資質”は何ですか?

その人にフォロワーがいるかですね。単純にSNSのフォロワー数ではなく、自分の考え方や生き方、仕事の成果物に対して共感して熱狂して応援したいと思う人がどれだけいるか。

例えばライターの人がオンラインサロンを開いて、文章術とかを教えてもコミュニティ的には能動的にならないです。いわゆる講座と同じで、卒業したら終了、コミュニティとしては持続しません。それはその人自身に共感や熱狂を持っている人がいないから。

あとは概念を象徴する存在であること。箕輪編集室だとその概念を表す言葉が「死ぬこと以外かすり傷」なんですが、それを誰よりも体現して生きているのが僕。

会社と違ってルールや目標がないので、だからこそ概念的なもので動くというのが大事なんですよ。判断に迷った時、「多分箕輪さんだったらこっちを選択するな」とイメージしやすくなるので。

―オンラインサロンを持続するコミュニティにするために意識していることはありますか?

佐渡島庸平さん(株式会社コルク 代表取締役社長、2018年4月にコミュニティについての著書を幻冬舎より発行)が言っていたことなんですけど、「安心安全」ですね。最初プロジェクト、プロジェクトって言いまくってたので、ついてくるのがしんどいだろうなと思ったんです。コミュニティは持続しないと意味がないのに、熱狂はするけどゴールテープを切って終了となってしまう。別に何も目的がなくても居心地がいいという状態にしないと駄目だなと。

自分みたいな人を作るという発想で組織を設計する

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―会社組織にオンラインサロン的な概念は取り入れられますか?

概念を言ったところで熱狂や共感は生まれないですね。労働という洗脳なんですけど、どんなに頑張っても月給はそんなには変わらない。そうなると、できるだけ仕事を減らしたほうが楽、仕事をしない方が得って思うようになる。それは会社というシステムの中では仕方ないことではありますよね。

でもなんで僕が給料が上がらないのに会社で死ぬほど頑張っているのかというと、NewsPicks Bookとかが売れることによってできるブランドとか僕のフォロワーとかをオンラインサロンやコンサルティングなどでお金に変えて回収出来ているから。

会社に閉じ込めてお金で時間を買っている中で、「こんな素晴らしい概念なんだからみんな頑張れよ」っていうのはなかなか難しい。

佐藤航陽さん(株式会社メタップス代表取締役社長、2017年11月に『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』を幻冬舎より発行)が言っていたんですが、「やりがいというものは人間の生物的な欲望(衣食住や子孫を残すことへの欲求)や社会的な欲望(金銭欲・承認欲・競争欲)が満たされて初めて求められるものだ」と。

入社したての時はやりがいにときめくけど、給料が低かったりするとどんどん削がれていってしまうんですよね。でも、オンラインサロンはもともとお金を払って入ってもらう場所だから、衣食住のところは他で満たしてねというフィルターがかかっている。だから高次元のやりがいなどの欲望を満たす場所として機能しているんです。

なので会社に概念を取り入れるには、お金というものの不満をなくす必要があると思っています。オンラインサロンは参加費を支払ってもらうことで無くしました。会社で不満をなくすには1億円を与え続けるとかってしないと駄目で、でも現実的ではないから難しい。

―概念を取り入れるのは難しいと。では会社に活かせる手法はありますか?

自分みたいな人を作るという発想でどのように組織を設計するか、ですね。

会社でも存在する、優秀な人とそうでない人、ベテランと新人、経験者未経験者といった階層がオンラインサロンだと顕著なんです。そうするとオンラインサロンでは、必然的にベテランや経験者がリーダーとなってメンバーを束ねていくわけなんですけど、いつまでも同じ人がリーダーをやっていると組織が流動的にならずに活性化しなくなっちゃいます。
他のメンバーから見ると「また同じ人たちだ」となり、新しい人が参加しずらくなる。

なので、そうならないためにもリーダー格の人はプレイヤーの立場ではなく、“自分みたいな人をどう作るか”という発想を持って、組織の設計者側に回ることが必要になります。
もし自分がリーダー格ではなく、共感してくれる人が少ないと感じるのであれば、まずは圧倒的な結果を出す。

僕の場合は、幻冬舎で毎月本を出しつつ、箕輪編集室を通して、僕の考え方や行動を共有し続けています。

お金とは別軸の“やりがい”を探求できる環境を作って、組織が流動的で活発になるようなチームビルディングやコミュニティづくりができるようになれば、これからの時代どこに行っても求められる人になると思います。

 


取材
篠原舞(しのはら・まい)
2017年7月に箕輪編集室に参加。ライティング・編集が未経験ながらもライターチームを立ち上げ、初代リーダーに。そこで培った経験を活かし、NewsPicksなどからライターの仕事を受注。また、現在は箕輪編集室の運営に従事。

写真
大竹大也(おおたけ・だいや)
1992年生まれ。2017年末に会社を退職。2018年よりカメラマンとして活動を開始。同年3月に異例のスピードで、ピース又吉直樹氏原作の映画『凜』でスチールカメラマンを担当。他にもアパレル広告や企業HPバナー用の撮影などを手がける。オンラインサロン「箕輪編集室」では映画監督としても活動中。
HP:D-STUDIO https://daiya3.net/

図1 『MONDAY MINOWA』『出版3.0時代の「未来の作家のカタチ」』
前田高志(まえだ・たかし)

図1 動画/プロモーション(箕輪編集室1000人突破記念動画)
吉田 貴臣(よしだ・たかおみ)

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