これまで日本企業の多くで禁止されていた「副業」が次々と解禁されています。
大手製薬会社であるロート製薬が2016年2月に副業を解禁。60人強が、地ビール製造など様々な副業をはじめたニュースが話題となりました。サイボウズやLIG、GoogleやYahooなど、社員の副業を既に認めていた企業の取り組みにも関心が集まっています。
では、副業をしてみようと思い立ったとき、何を考慮すべきなのでしょうか?
その疑問を解決するべく、「副業初心者が知っておくべき3つのこと」をまずご紹介。その後、副業から得られる平均収入も踏まえて「副業はじめの一歩」で大切にしたいことをまとめてみます。
1.副業の種類を知っておく
副業には様々な種類があります。あまりに種類が多すぎて、「何から検討すればいいか分からない」という方もいらっしゃるかも知れません。そこで、大きく2つに分けて副業の種類を整理してみました。「インターネットを利用したネット副業」と、「投資による副業」の2つです。
インターネットを利用したネット副業
いつでもどこでもできる副業といえばネット副業です。インターネットを利用した副業では、ネットオークションやフリマアプリを用いた商品売買が代表格。ですが、その他にも次のように様々な種類があります。
ブログライター・アンケートモニター・YouTuber(自分で作成した動画をYouTubeで公開して広告収入を得る)・ポイントサイト(ポイントをためて現金に替える) ・アフィリエイト(自分が作ったWebコンテンツの広告を経由して、閲覧者が商品などを購入した場合に報酬を得る)・ドロップシッピング(ブログなどで集客のみを行い仲介業者と提携して商品販売を行う)・シェアリングエコノミー(民泊・カーシェアリング)など
ちなみに、ブログライターとしての仕事を得るのによく用いられるのが「クラウドソーシング」という仕組み。多数の人々にネット経由で企業が業務を外注できるシステムです。
このクラウドソーシングはブログ記事作成以外にも様々な仕事が募集されています。イラストやウェブページの制作など趣味や特技を生かせる仕事はもちろん、スキマ時間にできるも気軽な仕事も沢山あるので要チェックです。
前掲した一覧の最後にあるシェアリングエコノミーとは、インターネットを介してモノやサービスを貸し借りする経済活動。副業としては、自宅の部屋を貸し出す「民泊」や空きスペースや駐車場を貸し出すサービスが知られます。
自分の空き時間を貸し出すという意味で、クラウドソーシングをこのカテゴリーに入れることもあります。
投資による副業
投資や経営を副業としてはじめる人もいます。1つは、値動きを示すチャートや経済ニュースをチェックして株を購入する「株式投資」。そして、外国の通貨を売買して値動きの差額で利益を得る「外国為替証拠金取引」(Foreign Exchange 略称 FX)。この2つが副業としての投資で人気です。
株式投資と異なりFXは、外国為替市場が24時間いつでも開いているため本業の終業後にも取引ができる点、そしてスマホからも取引ができることで注目を集めています。
株式投資・FX・個人向け国債(数年後に償還される)・ワイン投資(現物ファンドの一種)など
2.副業の落とし穴を知っておく
副業にも、落とし穴があります。自分がはじめようとしている副業を事前にしっかり調べて、落とし穴も把握しておきましょう。
例として、ネットオークションやフリマを副業とする場合の注意点をみてみます。身の回りの不要品をはじめは売っていても、販売する商品はそのうちなくなります。すると、人気商品を安く仕入れて高値で売る「セドリ」といわれる手法を行う方もいるでしょう。
「セドリ」は売る商品の点数の多さが利益を左右します。すると、商品や梱包資材の保管場所が落とし穴となります。自分の部屋がそれらであふれかえって困るのはもちろん、発送する商品が探せなくなるという事態は怖いです。
また、詐欺まがいのトラブルも大きな落とし穴です。
国民生活センターによると、ネット副業のトラブルは増加傾向。2011~13年度は800件台だった相談件数が、2014年度には1175件へ増加しているのです。トラブルが多いのは、ネット副業の一覧でご紹介した「アフィリエイト」と「ドロップシッピング」。
もちろん、すべてのアフィリエイトやドロップシッピングが問題を抱えているわけではありません。以下のようなうたい文句を掲げている場合に気をつけるとよいでしょう。
「簡単に必ず儲かる」
「友人も会員にすればさらに稼げる」
「この副業をはじめるには最初に数十万円が必要」
トラブルにあった人の中には、最初の数十万円を用意するために借金をした例も。その結果、トラブル相談内容は「業者の説明と違って稼げず、損をした」というものが多くなっているのです。
3. 副業の税金を知っておく
副業で得た収入から、必要経費を引いたのが雑所得。この雑所得が年20万円を超えたら、確定申告が必要です。
2016年1月のマイナンバー導入以降、企業から発生する様々な取引でのお金の動きを税務当局が把握しやすくなっています。以前からもちろん、「誰に・いくら・いつ、企業がお金を支払ったか」を税務署に報告する「法定調書」で把握は行われていました。ですが、マイナンバーを用いてさらにお金の動きを名寄せしやすくなっているのです。
それを考えると、確定申告をキチンとしておきたいところ。確定申告は、インターネット上の国税庁の確定申告書等作成コーナーから作成できます。
なお、この作成コーナーで確定申告を行う際に注意が必要なのは「住民税・事業税等に関する事項」の部分。会社で副業が認められている場合は「給与から差引き(特別徴収)」を選択します。
地に足をつけて踏み出す「副業、はじめの一歩」
副業のはじめ方は様々ですが、どのような副業を選んでもやはり本業を優先し、自分のライフスタイルに合った働き方をすることが大切なポイントとなります。
転職サイトDODAが行ったアンケート(2011年)によれば、副業の平均月収が最も高かった副業は、平均51.6万円の株やFXを用いた副業。ですが、副業の平均月収は4万円となっています。やはり、あくまで本業を優先。副業に高収入は最初のうち期待できないからです。
むしろ重視すべきなのは、収入ではなく「自分に合っているかどうか」。どんな副業であっても、自分に合っていれば継続できるからです。
うまくいけば退職後も継続して行えるのが副業。慎重に、そして現実的に、副業のはじめの一歩は踏み出したいですね。