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テクノロジーの発展により、コンビニの働き方はどう変わる?

2018.05.04

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今、コンビニでの働き方がテクノロジーによって大きな変化を遂げようとしています。

コンビニ業界に約20年従事しており、同業界の専門ライターとしても活動している日比谷新太です。
私たちの生活のインフラとなりつつあるコンビニは、日本に誕生してから約40年、商品や営業時間、サービスを変え、私たちの生活スタイルに寄り添って成長してきました。
今でもコンビニ業界の成長は止まらず、店舗数は約5.5万店。全体の売上が10兆円を超える大きな産業となっており、そしていまコンビニ業界ではテクノロジーを取り入れ、次の成長に向けて新たな壁を乗り越える取組みを開始しています。
今回は最新のコンビニ業界全体の動向を元に、今後のコンビニでの働き方がどのように変わってくるのかをお伝えします。

スマートコンビニによる変化

Amazon Goの登場

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2018年1月、アメリカ・シアトルに世界で最も注目されているスマートコンビニAmazon Goが一般オープンしました。
Amazon Goをはじめとするスマートコンビニでは、利用客の行動をもとに店の構造までが見直され、単純作業やルーティンワークとなっていた従業員の業務と人的コストがロボットやAIに置き換わっています。

まず、利用客の行動の変化について説明します。スマートコンビニでは利用客が入り口でスマホをかざしてインターネット上の決済アカウント(Amazon GoではAmazonアカウント)を認証し、欲しい商品を手に取ったらレジ決済をせずにそのまま店舗から出ていきます。
どの客が何の商品を手に取っているかを、複数の店内カメラとセンサーでトラッキングし、客が商品を持って店を出た瞬間に自動的にスマホから商品代金が引き落とされる仕組みができているため、レジが不要になっているのです。
このような仕組みによってレジが不要になることで、店舗レイアウトは以下のように変化していきます。
① レジ不要に伴いレジカウンターが不要
② 酒たばこの販売が無人だとできないので自販機になる(もしくは、ここだけ有人レジで対応)
③ ネットショッピングと融合により宅配ロッカー(ピックアップロッカー)が設置される

一方、店内には商品補充ロボットや清掃ロボットが動きまわっています。このロボット達は自立自走していて、自分の目で売場の状態を把握して決められた作業を行うため、従来の清掃業務に充てられていた人的コストが大幅に削られます。
テクノロジーが店舗構造とカスタマーエクスペリエンスを変え、それらが変わることにより従業員の業務が変わっていくのです。

日本でのスマートコンビニ

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このようなAmazon Goと全く同じモデルではありませんが、日本でもローソンがパナソニックと共同で、ローソンの3店舗( 晴海トリトンスクエア店、大井町店、ゲートシティ大崎店)で、スマートコンビニ化の実証実験を行なっています(実証実験は2018年4月23日から5月31日まで)。

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従来、店員が立っていたレジカウンターの一角に設置された「レジロボ」では、電子タグ(バーコードの代わりになる小型電子チップ)の機能を使い、人が一つ一つの商品バーコードを読み取らずとも、会計から袋詰めまでを行うことができます。
商品を入れた専用のカゴをレジカウンターに置き、横についているタブレット端末で決済方法を選びます。支払いを進めると、カゴの中に入れた商品は一度レジカウンターの中に取り込まれ、センサーが電子タグの情報を読み取るのと同時に袋詰めされた商品が出てきます。

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また、iPhoneやアンドロイドの携帯アプリで決済を行う「ローソン スマホペイ」を使えば、レジに並ぶ行為そのものが必要なくなります。
利用客はローソンのスマホアプリで商品バーコードを読み取り、Apple Pay、楽天ペイ、クレジットカードのいずれかを用いて店舗内のどこからでも決済をすることができます。そして、決済後に出てくるQRコードを店の出入口に設置されている専用カメラにかざすだけで、買い物を終えることができるのです。
(注:酒類やタバコなど、年齢制限があるものは購入できません)

「レジロボ」や「ローソン スマホペイ」の実現により、従業員たちは常にレジに立っている必要がなくなります。
その分、ホットスナックコーナーの調理や、細かな商品の品出しなど、人気商品が品切れにならないように気を配り、利用客の満足度を上げることができるのです。
2018年5月末まで行われる実証実験の後には、下期以降に利用客が多い店舗への導入が検討されています。コンビニでの買い物体験が変わってくる日もそう遠くはありません。

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2018年3月6日から9日に東京ビッグサイトで開催された「リテールテックJAPAN 2018」では、経済産業省の流通政策課課長が九州の小売業トライアルカンパニーで行っている取組みを動画付きで説明していました。

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トライアルカンパニーでは、店内にカメラを設置し消費者の購買行動を見える化する取組みや、レジカートにタブレットをつけて、カートを押しながら利用客が商品広告を見ることができたり、実際の陳列場所に近づくとポップアップでおすすめ商品の広告がでるような仕掛けを株式会社Remmoとの共同開発で行っています。
また、実験段階ですが、パナソニックと共同で電子タグ(バーコードの代わりになる小型電子チップ)を使った新たなウォークスルー決済マシンを設置していました。

また、ここからは私見になりますが、自販機の進化がコンビニ業界の目玉になるのではないかと考えています。
スマートコンビニを突き詰めると巨大な自販機になるからです。顧客が店内を動く必要はなく、欲しい商品をボタンで押すだけで買い物ができる、ネットで注文した商品を店舗で受け取れる、という新型自販機がコンビニの代わりを担う可能性もあります。
ネットで買ったものを受け取れるピックアップロッカーは、既に世界最大手のスーパーマーケットチェーン、ウォルマートが実現していて、急激にサービスが伸びているのです。

スマートコンビニでは、従業員はどのような仕事を行うのでしょうか?

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スマートコンビニでは、レジ作業・袋詰め作業はなくなり、商品補充作業・店舗の清掃作業もなくなっています。これらの単純作業は概ね今のコンビニ店員が行う業務の60%の作業割合を担っています。
そして、商品の発注作業についてもAIが進化してくると、人が発注するよりも高い精度で商品の自動発注ができます。

そんな中で従業員に託されるのは、客のトラブル対応、20禁(酒・たばこ)の販売など、人の手が入らざるを得ない領域でしょう(AmazonGoでも酒の販売は従業員のチェック・立会いが必要となっています)。

今までレジ一台に一人ずつ従業員がついていましたが、従来のような従業員は店に一人で事足りるようになり、こまかな商品の前出し作業や陳列ゴンドラの細かい部分の清掃作業、利用客にアピールするための売場作り、POP作成作業、会員カードへの加入促進営業活動など、利用客へ付加価値を提供することが主な仕事内容となります。

作業イメージとしては、セルフのガソリンスタンドに似ています。
実際にセルフのガソリンスタンドでの作業は単純なガソリン供給作業はお客さん自身に行ってもらい、従業員は「カード会員への加入促進」「車検の案内」「洗車サービスの案内」等付加価値の営業活動を行っています。

新しい雇用の可能性

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AIの進出・スマートコンビニ化の進展により、新しい雇用は生まれないのでしょうか?
労働者は単純な仕事から解放され、人はより高度な付加価値の高い仕事にチェンジしていきます。
すぐにでもチェンジできる仕事としては、「登録販売者」でしょう。とはいえこの仕事自体もAIに置き換えられそうですが、現行の法律では登録販売者がいないと薬の販売はできません。

また、複数の店舗を遠隔地で管理するAI管理者や遠隔ロボット管理者のような業務が生まれる可能性もあります。例えば、人件費の安い沖縄県に遠隔管理センターを作り店内の様子をカメラで確認しながら効率的な運営を行う事も可能ではないでしょうか? このような事を地方の店舗で活用できれば、部分的な人員不足も解消し、店舗にとっても健全なコストで運営ができるはずです。

現時点でも厨房を併設させたり、介護相談ができる窓口を設けるなどの構想が出ているコンビニがあり、新しい雇用の創出はすでに始まっています。
スマートコンビニの機能的な進化には、このような新しい雇用を生み出す可能性も秘めているのです。

まとめ

テクノロジーによるコンビニの進化やそれに伴う雇用の創出を解説してきましたが、このようなコンビニの進化には、経営的にコンビニの業態を進化させざるを得ない理由もあります。
キーワードは「人口減少×少子高齢化」「人材不足」「脱デフレ」です。
つまり、このままだと日本では人口減少と少子高齢化により労働者が足りなくなり、それに拍車をかけるように現時点でも脱デフレの方針によって人件費が上昇しているため、人以外の手段で人が不足している状況を打破しなければならないのです。

そして、高齢化によりスマートコンビニが普及した十年後、二十年後、コンビニの主な利用客は、店舗近くに住む「おじいちゃん」「おばあちゃん」になります。
そうなった時、コンビニで働く「人」に求められるのは丁寧親切に店舗機能などを案内できるコミュニケーション力や、利用客の多様性を考慮したサービス力になると考えています。

もちろん、東京などの都心部の店舗では、その場所と顧客層に合わせたサービスが求められますが、今後そのような適材適所のサービス展開に合わせて、雇用の幅も広がってくるでしょう。

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