はたらき方の可能性を
拡げるメディア

イベント

OKR・1on1・エンゲージメント――。テクノロジーで人事課題を解決する、新たな組織マネジメントの考え方とは?第2回 Work Switch DAY 2019「働き方改革後の組織マネジメント」

2020.02.12

1

働き方改革が進む中、新たな制度や施策を導入してみたものの、うまく運用できない――。このような悩みを抱える企業は少なくありません。目標設定や評価、業務改善、働きがい向上など「働き方改革後の組織マネジメント」はどのように考え、何に取り組んでいけばいいのでしょうか?

そのようなお悩み・疑問に答えるべく、ワークスイッチコンサルティングは2019年11月22日に「第2回 Work Switch DAY ~働き方改革後の組織マネジメント~」をSlack Japanオフィスで開催しました。

人事や組織の課題解決に取り組む4社(パーソルプロセス&テクノロジー株式会社、株式会社アトラエ、Slack Japan株式会社、Bizer株式会社)が登壇。先進事例をもとに、これからの組織マネジメントのあり方についてお話ししたイベントの様子をお届けします。

OKRと1on1でつくる、自律自走する組織の作り方

最初に登壇したのは、パーソルプロセス&テクノロジー株式会社HITO-Linkサービス開発部の大島亜衣里。OKR(※1)や1on1ミーティング(以下1on1)(※2)の管理ができる目標・評価管理ツール『HITO-Linkパフォーマンス』のプロダクトマネジャーを務めており、その立場からOKRと1on1の活用方法や取り組みポイントについて話しました。

※1:OKR(Objectives and Key Results)…企業のビジョンと個人目標を紐づける目標設定のフレームワークのこと。Objectives=目的・目標など実現したい状態、Key Results =Oを実現するための成果指標、を意味する
※2:1on1ミーティング…部下と上司が1対1で定期的に会話をする場。上司からの指示・命令したりや業務の進捗確認を目的とした従来の面談や定例ミーティングと違い、傾聴や共感をベースとして部下の能力を引き出し、成長を促すためのミーティングの場として利用する

2
▲大島 亜衣里

大島がまず話したのは、短期的な振り返りの重要性について。人事評価のスケジュールに沿った年に1~2回の振り返りでは部下の成長を促進することになつながらず、最悪の場合は従業員のモチベーションが下がり、離職の原因になってしまいます。モチベーションの向上や部下の悩み、ぶち当たっている壁を取り除くことで離職を防ぐためには、短期的な振り返りやコミュニケーションの場を持つことが有効で、OKRと1on1がその手段となりうると語りました。

大島 亜衣里(以下、大島) OKRはあくまで目標管理のフレームワークでしかないので、自社の組織に合わせたカスタマイズが必要になります。一般的には会社・部署・個人単位で設定することが多いのですが、HITO-Linkサービス開発部ではプロダクトごとに設定しています。これまでの人事評価制度と違い、OKRで設定した目標は社内に公開されるため、「誰がどんな目的で何をしているか」が分かり、部署間での助け合いにも繋がるのが特徴です。

3

続いて説明したのは、マネジメントのあり方の変化について。

大島 かつては働くことに対する価値観が一律で、組織も年功序列の評価制度で通用しました。しかし、現代では価値観が多様になっていますし、上司よりも専門性の高い部下を持つケースも稀ではなく、今までどおりの指示・命令の管理型マネジメントでは組織を率いていくことが難しくなっています。OKRや1on1は、不確実性の高い現代にマッチしたマネジメント手法であるといえます。世の中の企業が求めていることは、早く効率的に仕事をこなすという意味合いでの「生産性の向上」ではなく、仕組みや概念を変えていくという意味の「創造・変革」を必要としているのではないでしょうか。そのような場合に求められるマネジメントは、従来の「指示命令型」では部下の多様な価値観や能力・才能を活かしきれません。人が本来持っている能力・才能を信じて、部下の主体性重視するしその支援をする「協働型」に変わってきています。だからこそ、OKRや1on1による組織マネジメントに注目が高まっているのです。

wevoxの1,500万件のデータから見る、エンゲージメントの高め方とは?

2番目のセッションは、株式会社アトラエの川本周さんによる「チームエンゲージメントの高め方」についてです。AI技術によるサーベイ機能で、組織の状態を診断できる組織改善プラットフォーム『wevox』の活用事例を話しました。

4
▲川本周さん

wevoxについて、川本さんは次のように説明します。

川本周さん(以下、川本) エンゲージメントとは関係性の質、すなわち会社と従業員の結びつきの強さを示す指標です。wevoxでは、そのエンゲージメントをスコア化し、見えないもの(定性)を見える化(定量化)することで改善や施策導入のきっかけをタイムリーに的確に把握できます。コンサルティングのような指導型ではなく、自走型で変化に強いチームをつくる機会と共通言語を提供するツールです。

wevoxから日々弾き出されるデータと向き合い、川本さんは次のことに気づきました。
・トップダウン型の組織よりも、チーム単位・チーム間で話し合って実行する組織の方がエンゲージメントが向上しやすい
・勤続年数が増えるとエンゲージメントは下がる
・新卒社員は、ゴールデンウィーク後や配属後にエンゲージメントが下がりやすい

川本 エンゲージメント指数の向上は、離職率の低下以外にも生産性向上や受注率向上にも関係しており、上司とのコミュニケーション量や質がエンゲージメントに大きく影響します。

5

川本 エンゲージメントには、仕事に対して主体的に取り組んでいる状態を示す「ワーク・エンゲイジメント」と、会社や組織に対しての自発的な貢献意欲を表す「エンプロイー・エンゲイジメント」の2つがあります。大手企業は「ワーク・エンゲイジメント」が、100名未満の小規模な企業は「エンプロイー・エンゲイジメント」が、スコアに強く影響します。

川本さんが最後に話したのは、組織の5つの状態について。
1.ハードボイルド期…チームに関心がない
2.目覚めの予感期…メンバーに関心を持ち始める
3.野生のカリスマ期…ハブになるメンバーがつながりをつくる
4.革命前夜期…メンバーが複数人で連携し始める
5.ウィア・ザ・チーム期…目標を掲げて一致団結

川本 どの状態にあるのかは同じ会社でもチームによって異なるものです。組織全体を一気に変えることは簡単ではありませんが、チーム単位で、今自分達のチームが5つのうちどの状態にあるのかによって、数値の共有の仕方、振り返り方、相互理解の方法、アクションの方法も違うので、組織の状態に合わせてまずは自分たちのチームなりの改善アプローチを実行することが重要です。そのようなチーム単位での改善が結果として本質的な組織改善に繋がります。

組織とビジネスを前進させるコラボレーションハブ、Slackが描くビジョンと活用ポイント

第3セッションに登壇したのは、Slack Japan株式会社カスタマーサクセス部門 リードエンゲージメントマネジャーの石動裕康さん。チームワークを効率的にするビジネスコラボレーションハブ『Slack』が目指すビジョンと、その活用ポイントを話しました。

6
▲石動裕康さん

Slackは、「ビジネスライフをよりシンプルに、より快適に」というビジョンを掲げています。現在1200万人のアクティブユーザーが活用しており、世界第2の市場が日本だと言います。

石動さんより、Slackの活用における「バリューカーブ」の説明がありました。Slackの利用頻度と習熟度を軸にして、「有機的・意図的・整合的・変革的」というフェーズを踏み、組織に定着していきます。その4つのフェーズについて、詳しく説明しました。

石動 「有機的」な状態から、部門ごとのチャンネルをつくり、投稿フォーマットまで決まってくると「意図的」フェーズになり、部署内のやりとりも格段に良くなります。さらに、部署間のやりとりをSlackで行うことで、情報交換が迅速になり、かつ整合性が取れる「整合的」フェーズ、そして他のツールと連携して情報管理能力が格段にUPする「変革的」フェーズを経て、Slackによって組織のコミュニケーションが円滑になるのです。

7

次に、石動さんが紹介したのは、まず実装すべき「ヘルプチャンネル」と「アナウンスメントチャンネル」という2つのユースケース。

石動 社内外問わずメールや電話で問い合わせを受けていると、その対応が属人化する傾向にありますが、「ヘルプチャンネル」を設けて一元化対応することで、回答をナレッジ化、全員で確認できるため時間短縮が可能になります。「アナウンスメントチャンネル」の効果は、全社に向けたアナウンスに対して社員が絵文字ですぐ反応できレスポンスが即時に見られることと、スレッドの活用でコメントの投稿ができることです。

最後に、Slackの利用を定着させる上で押さえるべき4つのポイントを紹介しました。
・明確な導入目的を全員に伝えること
・組織中間層にリーダーを置き、チームごとにエンドユーザーの指導を担ってもらう「アンバサダーネットワーク」を構築すること
・Slackで実装すべきユースケースを策定すること
・どのシーンでどんなツールを活用するか、ツールの役割を明確に提示すること

Bizer teamで実現する、全ての仕事を可視化、資産化、再利用する生産性の高い組織の働き方

最後のセッションでは、Bizer株式会社 代表取締役の畠山友一さんより、チームの生産性の向上に役立つ管理ツール『Bizer team』の事例をもとにした「生産性の高い組織の働き方」について話しました。

8
▲畠山友一さん

畠山さんは、生産性の高い組織を作るために立ちはだかる以下3つの課題を解決するために、Bizer teamを作りました。
・チームの誰が何をしているのか、どのくらい進んでいるかが分からないこと
・仕事が属人化していて、マネジメントが機能していないこと
・目の前の仕事に追われて、中長期的な取り組みができないこと

畠山友一さん(以下、畠山) Bizer teamは、一度誰かがやったことをノウハウにして資産化し、組織の効率化を図るツールです。タスクを進めていく際に貯まるナレッジを登録して可視化し、それをテンプレートにすることで再利用できます。さらに、一度実施したタスクを見直し、ブラッシュアップすることも可能です。

9

続けて紹介したのは、月次決算の業務で112時間の削減を実現したA社の事例です。

畠山 A社では、経理担当者の退職時の引継ぎ業務で、部長が業務を確認したところ、今誰が何の処理をしているのかが分からず、進捗管理に工数がかかってしまう問題が起きました。そこで、Bizer teamを用いて月次決算の全業務を可視化したところ、メンバーの状況を把握することができ、各自が先回りして行動できるようになりました。その結果、メンバー間の連携がスムーズになり、112時間の削減に成功しました。さらに、部下から「これは、私たちでも回せる業務なので引き取りますね」など積極的な提案も出るようになり、現場への権限委譲の機会にもなりました。

畠山さんは、このセッションを以下の言葉で締めくくりました。

畠山 生産性の高い組織を作るには、どのツールをどう使うかということよりも、まず考え方が重要になります。チームや組織に資産を残し、現場が自発的に活用することが大事です。

10

答えのない「組織マネジメントの変革」を成功させるコツは……?

各セッション後のパネルディスカッションでは、紹介のあった組織マネジメント方法や各社のサービスについて、参加者からより深く掘り下げた質問が出ました。

今回のセミナーでは、OKRと1on1、エンゲージメント、コミュニケーションツール活用による業務改善、タスクの可視化や資産化の考え方と事例が示され、テクノロジー・ツールを現場が使いこなすことによって様々な組織課題を解決できる可能性があるとわかりました。

働き方改革後の組織マネジメントの変革について、どの企業も模索中で決まった答えはありません。変革を成功させるには、デジタルツールをただ導入するだけでなく、それぞれのツールの思想を知ること、現場がどうすれば使いこなしていけるかを考えることが求められます。

関連リンク
HITO-Linkパフォーマンス 
wevox 
Slack
Bizerteam 

取材・文/高島優季、編集/角田尭史、Work Switch編集部、 撮影/渡辺 健太郎

この記事をシェアする

RANKING

注目のキーワード