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インサイトレポート

フリーランスが抱える課題の解決を目指すインフィニテック社の挑戦。新しい働き方をつくる新規事業『WORQUEST』誕生秘話

2020.02.04

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近年、ワークスタイルの選択肢が広がっています。終身雇用は崩れ、副業を解禁する企業も続々。そうした中、自由な働き方を求め、フリーランスで活動する人も増えてきました。

フリーランサーと、フリーランサーに仕事を発注したい企業のマッチングサービスは複数ありますが、今年、従来にないスタイルのサービスが登場しました。株式会社インフィニテックが提供する『WORQUEST』(ワークエスト)です。
事業を立ち上げた立林翔さん、小野達哉さんに、これまでのプロセスと『WORQUEST』が目指す世界をお聞きしました。

株式会社インフィニテック 第二営業部 部長
立林翔(たてばやし・しょう)さん

新卒で大手セキュリティサービス会社に入社。10年以上にわたり、主に法人向けの新規開拓営業に携わる。インフィニテックに転職後、新規マーケット開拓を担い、営業および企画、事業推進を手がける。

株式会社インフィニテック 第二営業部 営業 GP1
小野達哉(おの・たつや)さん

IT業界で営業を務めた後、2015年よりフリーランスとして営業・企画・コンサルティング業務を請け負う。2020年1月に法人化。2018年よりインフィニテック社のWORQUEST事業の立ち上げに参画。

コワーキングスペースで活動するフリーランサーに新たな価値を提供したい

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▲立林翔さん

―― 今年1月にβ版サービスをリリースされた『WORQUEST』事業の概要をお聞かせください。

立林翔さん(以下、立林) フリーランスの方々と、業務をアウトソーシングしたい企業さんを結び付けるサービスです。同様のサービスはすでに複数ありますが、Web上でやりとりを完結させるケースが多い。『WORQUEST』では、コワーキングスペースやシェアオフィスと提携し、それらを拠点に活動するフリーランスと発注者が直接対面して協業できるのが特徴の一つです。メールやチャットだけでなく会って話し合ったほうが円滑に進むことも多いですし、やはりお互いの顔を見ることで安心できますから。

もう一つの特徴は、フリーランス同士がチームを組んで企業からの仕事を受けられる仕組みです。「技術には強いけど営業は弱い」「企画は得意だけど制作はできない」など、フリーランスは自分の専門外の業務に対応できず、受注のチャンスを逃してしまうことも。そこで、それぞれ得意分野が異なるフリーランス同士が手を結ぶことで、受注できる仕事の幅を広げていけるよう支援します。

―― 『WORQUEST』は、インフィニテック社の従来事業とは関連性が薄いようですが、なぜ新しい領域の事業に取り組まれたのですか?

立林 僕個人の想いと会社が目指す方向性が一致した、というのがそもそもの始まりです。僕はもともと大手セキュリティサービス会社で10年以上、法人営業を務めていました。その頃は出来上がったサービスを企業に提案する活動が中心でしたが、自分で新しいサービス、新しい事業を生み出してみたいという想いが強くなり、転職を決意したんです。

そこで出会ったのがインフィニテック。20年にわたり、教育機関対象のITサービスを手がけてきた会社です。今後はハードとソフト両方の開発力を活かして新たなマーケットを開拓していくとの方針を聞き、自分の経験を活かしつつ新規事業に取り組めると考え、インフィニテックに入社しました。

以来、既存事業の営業のほか、新規サービスとしてペーパーレス会議システムや会議室などの予約・認証システムを企画・商品化してきました。次の新規事業の可能性を模索していて、1年ほど前に目を留めたのが、近年増えている「コワーキングスペース」「シェアオフィス」。ここで働く人たちに価値を提供できないかと思ったんです。

事業構想を練る中で、フリーランスの友人に相談したところ、事業立ち上げのパートナーとして小野を紹介してもらいました。

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▲小野達哉さん

―― 小野さんはなぜ立林さんの事業立ち上げに協力しようと思ったのですか?

小野達哉さん(以下、小野) 僕はIT業界で営業をしていたんですが、「自分で切り開いていく働き方のほうが面白い」と、2015年からフリーランスで活動しています。IT分野の営業・企画・コンサルが得意領域です。

立林から構想を聞いたとき、「フリーランスと発注元企業が直接会う」という部分に惹かれました。企業がWeb経由でフリーランスに発注する仕組みがありますが、僕自身、顧客とオンライン上で話しているだけではお互いの意図が伝わりにくいと感じていました。やはり対面で話し、人物面も含めてお互いを理解したほうがいい仕事ができるし、関係を長く続けられると思います。「恋愛や婚活のサイトだって、出会いのきっかけはWeb上でも、最後は会うよね」と、大切にしたいコンセプトが一致しました。

また、これは日本の風潮といえるかもしれませんが、フリーランス=低価格と捉える傾向があります。「正社員と同等、あるいはそれ以上のスキルを発揮しているのにな」と、もやもやしているフリーランスも非常に多い。企業側がフリーランスの能力を正当に評価し、見合う報酬を出す――そんなフェアなフィールドを創っていく取り組みはすごく価値があると思い、ジョインさせていただきました。

求められているのは、「自分にない強みを持つ仲間」

―― 事業立ち上げにあたり、どんなことから始めたのでしょうか?

立林 小野が中心となって、ときには2人で一緒に、都内のコワーキングスペースやシェアオフィスを訪問して回りました。数としては100~150拠点くらいでしょうか。オーナーさんにアポを取ったり、飛び込みで挨拶したり。オーナーさんに許可をもらい、利用しているフリーランスの皆さんにも話を聞きました。

彼らからは予想どおり、「企業と対等な立場で仕事を請けたい」といった声が上がりました。それに加えて、「自分に足りない能力を補ってくれる人と組んで仕事がしたい」という声も聞こえてきたんです。

小野 意外にも、「新規顧客を獲得したい」という以上に、「フリーランス同士で情報交換したい、連携したい」というニーズが多かった。コワーキングスペースにはたくさんの人がいるんですが、お互いの情報をまったく知らない。施設によっては、オーナーが率先してユーザー同士をつないだり交流イベントを開催したりしていますが、それも限定的です。

外資系のコワーキングスペースなどでは、アルコールを無料提供して会員同士の交流を促進していたりしますが、日本人は知らない人に直接声をかけることに抵抗感があります。それより、Web上で「あの人はこんなことができるのか」をのぞき見しつつ、「話してみたい」「相談したい」と思ったら手軽にメッセージを送れるような仕組みがあるといいのでは、と思いました。

つまり、あちこちのコワーキングスペースやシェアオフィスにいるフリーランサーたちを「見える化」し、つながっていければ面白いのではないか、と。そのアイデアを皆さんに話してみると「そんなサービスがあればぜひ活用したい」という方が多かったので、実現に向けて仕組みをつくっていきました。

立林 新規サービスをつくるとき、意気込みだけで進めると突飛なアイデアや勝手な思い込みに偏ってしまいがちです。そういうものを極力排除して、利用者となる方々のリアルな声を反映していくことを心がけました。

図2
▲『WORQUEST』のログイン画面

―― 『WORQUEST』のサービス・機能について、くわしく教えてください。

立林 フリーランスの方は業種・職種問わず、どなたでも無料で登録・利用いただけます。とはいえ、しっかりとした専門性やスキルを持ち、コワーキングスペースやシェアオフィスを拠点に活用し、高単価の仕事を獲得できるような方々を想定しています。一方、仕事を依頼したい企業さんからは、案件の「掲載料」をいただきます。これは固定の月額制もしくは掲載案件ごとに料金をお支払いいただきます。「手数料」という形ではいただきません。

フリーランスの方は企業の募集案件を見て応募することになります。既存サービスと異なるのは、先ほども触れたとおり、「直接会っていただいてOK」という点です。

とはいえ、「仕事探し」だけを目的としたサイトにはしません。それはあくまで機能の一部。フリーランスの皆さんにとって、特に目的がなくても「見ているだけで楽しい」サービスを目指します。「今、新宿に誰かいないかな」「あの人がいるから、会いに行ってみよう」ということができる、SNSの要素を取り入れたサイトにします。

小野 正式リリースのタイミングで、「ギルド」という機能も備えます。WORQUESTを通じてフリーランス同士がつながり、チームを組んで仕事を請け負えるようにするものです。フリーランスが個人で仕事を請けるだけでなく、案件によってはチームで協業する。そんなふうに働き方の可能性を広げていけるようにしたい。また、フリーランサーと企業が交流するイベントも開催していく予定です。

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目指すゴールを共有できた仲間たちと、サービスを創り上げる

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―― 事業立ち上げのプロセスでは、どんな苦労があり、それをどう乗り越えましたか。

小野 協力者や提携先を開拓し、リレーションを築いてパートナーシップを結んでいくところにはもっとも力を入れましたし、苦労もありました。何しろ「見せられるもの」がまったくない状態からのスタート。とにかく、WORQUESTにかける想い、どんな世界を実現したいのかを伝え続けました。それが人から人へと伝わり、何人かを介して同じ想いを持つ人との出会いにつながっていったんです。

新しいものを生み出そうとするとき、お互いにメリットを感じて協業を始めても、最終的に目指すゴールが異なっていれば途中でかみ合わなくなる。向かおうとする方向が合っているかを見極めることの重要性を実感しました。

立林 僕も「共通のゴールを描く」というところで壁にぶつかりました。システム開発に際しては、フリーランスエンジニアの方々に集まっていただいてチーム編成しましたが、ふと気付くとチームメンバーが思い描くゴールがバラバラだった。メンバーとはWeb会議やチャットツールでコミュニケーションを取りながら進めていたんですが、やはり会って話さないと認識のズレを解消するのは難しいと思いましたね。
そこで、会って対話する回数を増やしました。あとは、ビジョンや方向性を何度も繰り返し語る。それでもやはりズレが生じてくるので、その都度語って目線を合わせる。週1回くらいのペースでそんなやりとりを行いました。

―― 新規事業を立ち上げる楽しさ、喜びについてはどう感じていらっしゃいますか?

小野 ヒアリングを重ねて出てきたアイデアを一つ一つ取り入れていき、だんだんと具体的な形になっていく。それが一番面白いところだと思います。

立林 新しいことを始めようとすると、必ず向かい風が吹くんですよね。それも承知の上で始めるんですが(笑)。でも、いろいろと反対に遭う中でも、自分たちの想いに共感してくれる人が現れる。そういう方々と出会うたびに「よし、もう1回頑張ろう」となる。その繰り返しです。その繰り返しによってサービスが立ち上がり、よりよいものに育っていく。それが数字に反映されると、もっと面白くなるでしょう。

―― これから『WORQUEST』を利用される皆さんへ、メッセージをお願いします。

小野 「パラレルワーク」という言葉が広がっているように、働き方の選択肢が増えています。一人が一つのことだけをずっとやっていくというより、幅を広げてチャレンジし、価値を生み出していく世の中になっていくでしょう。『WORQUEST』を介してフリーランス同士、そして企業とのつながりを広げることで、自分の価値をさらに高めていただけるといいな、と。僕自身がフリーランスなので、強くそう思います。

立林 僕らが最初にサービスプラットフォームを作って提供するわけですが、立ち上がった後はユーザーさんたちが「作り手」となってくださればいいな、と思っています。「こんな機能があれば面白い」「こんなことをすると楽しい」といったアイデアをどんどん出していただき、それを取り入れていきたい。ユーザーでありつつ、パートナーにもなっていただければうれしいです。

関連リンク
次世代フリーランサーのためのサイト「WORQUEST」
※2020年1月29日にβ版(PC向け)リリース。スマートフォン向けも順次対応予定です。

文/青木典子 撮影/渡辺 健太郎

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